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2009年03月26日 新宗連生命倫理研究会が学習会

新宗連(新日本宗教団体連合会)生命倫理研究会の学習会が3月26日、東京・渋谷区の新宗連会館で行われ、加盟教団から20人が参加しました。先ごろ新宗連から発行された「生命倫理ノート」をもとに、岡野英夫同研究会座長(解脱会理事長)、本山一博同委員(玉光神社権宮司)、吉津隆史同委員(本会中央学術研究所所員)が、「脳死・臓器移植」「代理母出産」「出生前診断」「着床前診断」について問題提起を行いました。

「脳死・臓器移植」では、移植は人の役に立つ善行という考え方があるものの、臓器を機械の部品のように扱うのは生命の尊厳を無視した行為と指摘されました。また、移植後、被提供者は一生、免疫抑制剤の副作用に苦しまねばならないこと、宗教的観点からは魂の問題も考慮されねばならないことなどが挙げられ、宗教者としていかに明確な死生観を示せるかが課題とされました。
「代理母出産」では、代理母が母胎の危険にさらされる、障害児が生まれた場合に依頼者が引き取りを拒否するケースがある、出生児の先祖の供養をどう考えるかという問題が生じる、などの論点が確認されました。
出産前に胎児の状態を調べる「出生前診断」は、胎児に異常が見つかった場合、中絶につながるなどの問題点があります。今回の問題提起では、健常児を望む親の気持ちにも一定の理解が示された上で、検査には身体的危険性が伴うこと、検査自体に疑問を感じることなどが強調されました。「出生前診断」の一方法である「着床前診断」については、受精卵の段階で検査するため無用な中絶を回避できる、母胎への負担が比較的少ないなどの点が指摘された上で、受精卵そのものを扱うことから生命誕生操作につながるとの懸念が表明されました。

(2009.4.3記載)