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2009年04月18日 ユニセフ・WCRP連携事業 フィリピンで詳細協議

今年度から本会の「一食(いちじき)ユニセフ募金」が新たに拠出されることになったユニセフ(国連児童基金、本部・ニューヨーク)とWCRP(世界宗教者平和会議)による連携事業「紛争下・後の子どもの保護」の詳細を協議する目的で、4月18日から22日まで、同事業が最初に着手されるフィリピンで会議が開催されました。立正佼成会からは松本貢一青年本部長が出席。ユニセフ本部、同フィリピン事務所、日本ユニセフ協会、WCRP国際委員会、WCRPフィリピン委員会など同事業に携わるすべての機関の代表者が参加しました。会議では同事業の意義や目的を改めて確認。今後の諸調整を含め今秋からの同地での事業の本実施、また、他国での同事業の展開についても合意しました。

「一食ユニセフ募金」には、本会会員が展開する街頭募金やチャリティーバザーなどさまざまなユニセフ支援活動を通じ、市民から浄財が寄せられます。これらは日本ユニセフ協会、ユニセフ本部を通じて、世界の子どもたちのために役立てられています。
浄財の具体的な使途は、各国の子どもたちの現状を踏まえてユニセフと協議し、「指定拠出」として、事業内容や支援国の選定を行っています。現在は3カ年計画としてアジア4カ国(ネパール、カンボジア、フィリピン、東ティモール)の教育事業を支援しています。
今年度から新たな拠出先となったユニセフとWCRPの連携事業「紛争下・後の子どもの保護」も「指定拠出」の一つです。戦争や紛争の影響で多くの子どもたちが困難な状況に置かれている点を重視し、本会とユニセフ、WCRPと協議を重ね、決定しました。すでに始まった事業の実施に向けた現地調査や諸活動などには、昨年寄せられた浄財が充てられます。
このほど、同事業の関係諸機関による合同会議がマニラ市内のホテル、同ユニセフ・フィリピン事務所、また現在も紛争下にあり、同事業が実施されるミンダナオなどで数回にわたって行われました。
会議では、ユニセフ本部・パートナーシップ主任のスティーブン・ハンマー氏とWCRP国際委員会の杉野恭一事務次長がそれぞれの立場から、同事業を世界的に展開する意義や目的を提示。両者は互いの経験などを分かち合い、また特性を生かすことで効果的な「子どもの保護」事業が実施されると述べ、すべての出席者もこれに同意しました。
また、ユニセフ本部の子ども保護担当官のアマンダ・メルビル氏は具体的な支援のあり方などを示すとともに、「直接的な支援に加え、宗教指導者との協働により子どもたち、またその周辺の大人たちへの平和教育などを通して紛争予防、紛争解決につなげていくことが期待できる。ユニセフにとっても新たなチャレンジである」と語り、事業を支える本会に対し、深い謝意を表明しました。
これらの意見を踏まえた上で、同事業を世界レベルで展開する大きな目標として、「紛争下・後の子どもを保護するため、宗教コミュニティーの関与、及び諸宗教協力の制度を強化する」「宗教コミュニティー及び諸宗教協力の制度と共同事業ができるように、ユニセフを含む子どもの権利擁護団体の能力(知識、スキルなど)を強化する」ことを決定。また、コンゴ民主共和国、スリランカなど他国での事業の実施を目指すことを確認しました。
ミンダナオでの事業展開についても、ユニセフ・フィリピン事務所とWCRPフィリピン委員会事務総長のリリアン・シソン博士をはじめとする諸宗教指導者、現地NGO(非政府機関)などが参加し、現地の実情を踏まえ、事業の本実施に向けた熱心な議論を展開しました。
それぞれの会議でスピーチに立った松本青年本部長は、本会とユニセフ、またWCRPとの深い関係を述べるとともに、ユニセフ支援活動をはじめ日々、世界平和の実現を願ってさまざまな取り組みを行っている会員の思いを紹介。その上で、新たにスタートする両機関による連携事業への強い期待を表明しました。
なお、ミンダナオでの事業は今秋から本格実施の予定。現在、ユニセフ・フィリピン事務所とWCRPフィリピン委員会の両機関が協働し、子どもたちを含むすべての国内避難民の状況、宗教コミュニティーや宗教指導者の把握など綿密な実態調査を進めています。

(2009.5.8記載)