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2009年06月16日 庭野会長が「第4回G8諸宗教指導者会議」に出席し、スピーチ

庭野日鑛会長は6月16、17の両日、イタリア・ローマ市内で開催された「第4回G8諸宗教指導者会議~イタリアG8サミットに向けて」(イタリア司教協議会、イタリア外務省主催)に出席、開会式で発題のスピーチを行いました。G8サミットに向けた諸宗教者による事前会議は、これまでモスクワ、ケルン、札幌で開催されました。庭野会長は、昨年の「平和のために提言する世界宗教者会議」を主催したWCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会の代表(理事長)として壇上に上がり、宗教者による継続的な取り組みの重要性を強調しました。会議のバトンを、前回開催地・札幌からローマに手渡した形です。会議参加者は16日夕の開会式後、翌17日夜まで議論を重ね、宣言文を採択しました。16日午後には、クイリナーレ宮殿でジョルジョ・ナポリターノ大統領と面会したのをはじめ、17日午前には、バチカンでローマ教皇ベネディクト十六世に謁見(えっけん)。またイタリア滞在中、聖エジディオ共同体本部、フォコラーレ運動本部、バチカン諸宗教対話評議会などを訪れ、諸宗教対話を重ねました。佳重夫人、川端健之総務局長が同行しました。

G8サミット(主要国首脳会議)は、年1回開かれ、国際的な諸課題が討議されます。これに先立ち、宗教の視座から議論し、主要国首脳に提言することを目指した諸宗教会議が、モスクワ(2006年、サンクトペテルブルク・サミット)、ケルン(2007年、ハイリンゲンダム・サミット)でそれぞれ開かれました。
昨年7月には、WCRP日本委員会が主催し、「平和のために提言する世界宗教者会議~G8北海道・洞爺湖サミットに向けて~」(WCRP国際委員会共催)を札幌で開催。23の国と地域から参加した約300人の諸宗教者によって提言書が採択され、当時の福田康夫首相を通じ各国首脳に伝えられました。今回、ローマでの会議は、モスクワ、ケルン、札幌での議論を継承するものです。
今会議には、キリスト教、イスラーム、ユダヤ教、ヒンドゥー教、仏教、神道など、世界23カ国から、130人が参加。日本からは、WCRP日本委員会の庭野理事長、宮本けいし事務総長(妙智會教団理事長)、杉谷義純前事務総長(天台宗宗機顧問)をはじめ、大本、浄土真宗本願寺派、神社本庁、天理教、明治神宮から代表が出席しました。
開会式は16日夕、ローマ市内にあるイタリア外務省の迎賓館で行われました。ヴィンセンツォ・パリア・イタリア司教協議会エキュメニズム・諸宗教対話委員会委員長(テルニ・ナルニ・アメリア大司教)の歓迎あいさつに次ぎ、ジャン・ルイ・トーラン・バチカン諸宗教対話評議会議長(カトリック枢機卿)が開会のあいさつ。アンドレア・リカルディ・聖エジディオ共同体創設者が基調講演を行いました。
このあと宗教者の代表による発題に移り、アラム一世・アルメニア正教総主教(レバノン)、モーデカイ・パイロン・前主席ラビ(イスラエル)、ディン・シャムスディーン・ムハンバディヤ中央委員会議長(ACRP実務議長、インドネシア)、庭野会長の4人が、それぞれスピーチに立ちました。
札幌での諸宗教会議の主催者として壇上に上がった庭野会長は、昨年の会議の概要を伝えた上で、「札幌での諸宗教会議を主催した一人として、モスクワ、ケルンから受け継いだバトンを、今日ここで、ローマにお集まりの皆さまにお渡ししたいと思います。このバトンは、目には見えませんが、過去三回の会議に参加した諸宗教者の願いが込められたものです」とローマでの会議に期待を寄せました。
また、法句経の一節を引用しながら、宗教者が共有すべき最も根本的な価値は、「いのちの尊厳」を守ることにあるとし、「決して目新しいテーマではありませんが、何よりも重要であり、永遠の目的となるべきもの」と位置づけました。
さらに、子供たちの置かれている現状に憂慮の念を示し、その「いのちの尊厳」を守ることが急務と指摘。「モスクワ、ケルン、札幌を経て、ローマにお渡ししたバトンは、宗教者による平和へのリレーとして、来年以降も受け継がれていくに違いありません。ゴールは、まだ見えません。しかし、諸宗教者の叡智(えいち)と努力によって、やがては、すべての『いのちの尊厳』が守られる世界を築いてまいりたい」と訴えかけました。
開会式では、このほかフランコ・フラッティーニ・イタリア外務大臣があいさつしました。
翌17日は、イタリア外務省・国際会議場ホールに会場を移して行われ、冒頭、ウィリアム・ベンドレイWCRP国際委員会事務総長、マリア・ボーチェ・フォコラーレ運動会長ら4人があいさつしました。このあと、3回の全体会議を開き、G8サミットに向けた宣言文の内容について議論。国連ミレニアム開発目標の完遂、アフリカ諸国の経済危機への対応、核軍縮及び核不拡散の厳格な実施などを柱とする最終宣言文が採択され、ヴィンセンツォ・スコッティ・イタリア外務省政務官に手渡されました。スコッティ政務官は、「宣言文は、フラッティーニ外務大臣を通じ、G8の首脳だけでなく、拡大会合に参加する二十数カ国の首脳にもお渡しすることを約束する。宗教者の支援がなければ、政治の役割を果たすことはできない」と述べました。

(2009.6.26記載)