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2009年07月01日 日宗連が「臓器移植法改正案の参議院審議に対する意見書」を提出

日宗連(日本宗教連盟)は7月1日、岡野聖法理事長名による「臓器移植法改正案の参議院審議に対する意見書」を発表し、同日、日宗連の齋藤謙次事務局長が参議院の辻泰弘厚生労働委員長に提出しました。

「意見書」は、「脳死を一律に人の死」と定め、本人が生前に拒否の意思表示をしていない限り、家族の同意だけで年齢に制限なく臓器提供できる改正案(A案)が衆議院で可決されたことを受けてのものです。6月30日に参議院厚生労働委員会での審議が始まり、翌日に提出されました。
「意見書」では、すべての人のいのちが等しく、かけがえのないものとし、脳死・臓器移植が「生きている他者の重要臓器の摘出を前提としている限り、普遍的な医療行為にはなり難い」と指摘。参議院では、ドナー(臓器提供者)とレシピエント(移植を受ける患者)双方の「いのちの尊厳」が侵害されない観点からの審議の必要性を強調しました。
その上で具体的な項目として、1.脳死の診断後に長期生存し、成長を続ける子供の事例が報告されており、人の死は三徴候(心臓の鼓動と呼吸が停止し、瞳孔が開く)によって判断されると考える人が多いことから「臓器移植の場合にのみ、脳死を人の死」とすること 2.ドナーの「いのちの尊厳」を守るために、「本人の書面による意思表示」を規定すべき 3.子供は蘇生(そせい)力に富んでおり、小児からの臓器移植については、「より厳格な脳死判定基準の導入」「被虐待児を対象としない」など子供を保護するシステムを検討すべき 4.以上を踏まえ、脳死・臓器移植が直面している諸問題の解決のため、「第2次脳死臨調」を設置し、集中的な検討をすべき--とする4点を特記しました。
さらに、改正は国民各人の死生観、特に次世代を担う子供への影響が大きいことから、「問題点を残したままでの採決は、将来にわたり日本の文化・社会に大きな禍根を残すもの」と懸念を表明。"良識の府"と言われる参議院での慎重な議論と判断を要望しています。

(2009.7.10記載)