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2009年07月08日 「臓器移植法」改定を考える緊急院内集会で8教団の代表者が見解

7月8日、「臓器移植法」改定を考える緊急院内集会「宗教界からの緊急提言--『脳死は人の死ではない』」が東京・千代田区の参議院議員会館で行われ、立正佼成会を含む8教団の代表者が見解を発表しました。本会からは中央学術研究所の篠崎友伸所長が発表者として出席。各発表者は脳死を一律に人の死としないことを訴え、参院での慎重な審議を求めました。

毎日新聞が今年6月13、14の両日に行った世論調査では、現行法通りに「臓器提供の意思表示を示している人に限るべき」が52%と過半数を占めました。「脳死を人の死と認めるべき」は28%、「人の死と認めるべきでない」は9%で「脳死を一律に人の死」とする国民的合意は得られていません。
院内集会で発表に立った篠崎所長は、本会が今年4月に各国会議員に提出した『臓器移植法改正案に対する重ねての提言』に基づき見解を発表。「脳死」という概念が臓器移植が行われる過程で生まれたものであり、現在では米国でも「脳死を人の死」とする考えが揺らいでいると述べました。
その上で、脳死は人の死ではなく、人間が死に至る過程に過ぎないとの認識を示し、改正A案が「多数の国民を臓器摘出の対象者とすることを目的としており、多様な考えを否定するもの」と指摘。さらに、生命倫理とインフォームドコンセント(医師が病状や治療方針を十分に説明し、患者の同意を得ること)が医学的趨勢(すうせい)とされる観点から「移植には、本人の提供意思が必須条件」と訴え、参院での慎重な審議を要望しました。
このほか、浄土宗、浄土真宗本願寺派、真宗大谷派、大本、天台宗、日蓮宗、NCC(日本キリスト教協議会)の代表者が見解を発表。司会者から曹洞宗の見解と日本宗教連盟の意見書が紹介され、宗教界の多くの一致した見解として「脳死を一律に人の死としない」よう求めました。
この中で、浄土宗総合研究所の今岡達雄主任研究員が「臓器移植には、亡くなっていく人の命は軽く、生きる可能性のある人の命は重いとする、命に軽重をつけることが前提にある」ため、提供者の自己決定が不可欠と強調しました。

(2009.7.17記載)