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2009年09月10日 新宗連が「第22回人権啓発基礎講座」

新宗連(新日本宗教団体連合会)同和推進連絡協議会による「第22回人権啓発基礎講座」が9月10、11の両日、大阪市内で開催されました。差別をなくし、真の共生を築くために、人権問題を自己の信仰課題にしていくことが目的です。加盟教団から11人が参加しました。   

10日、参加者一行は大阪人権博物館リバティおおさかを見学。このあと『部落差別について』をテーマに学芸員の朝治武氏による講演が行われました。朝治氏は、江戸時代から近代までの身分制度と差別の歴史を詳述しました。この中で、部落差別は江戸時代の身分制度が原因と説明。さらに、差別の発端には死を恐れる観念が背景にあり、特定の職業に対する排他的な意識が社会的、歴史的に助長され、差別の固定化につながったと指摘しました。
また、差別を生む心理には、自己との違いを見つけ、他者や異なる民族、国家を「自分より下」と蔑視(べっし)する意識が働いていると指摘。その意味で、部落差別と植民地支配や戦争、経済格差とは根底で関連していると強調しました。部落差別をなくすには、これらの問題を総合的にとらえ、一人ひとりが自らの「差別意識」を見つめていくことが欠かせないと訴えました。
翌11日には大阪人権センターで、『被差別部落の歴史--渡辺村の歴史と人権・太鼓ロード--』と題して、大阪教育大学教職教育研究開発センターの中尾健次教授による講演が行われました。中尾教授は、室町時代から牛馬の処理や皮革産業に従事してきた同村の歩みと差別の実態について説明しました。現在は、自らの歴史に誇りを持ち、いわれなき差別をなくしていくため、「人権・太鼓ロード」を設置して人権文化発信の町づくりに努めていることを紹介しました。

(2009.9.18記載)