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2009年09月30日 イスラーム世界連盟主催「国際諸宗教対話会議」

イスラーム世界連盟主催の「国際諸宗教対話会議」が9月30日、10月1日の両日、スイス・ジュネーブ市内のホテルで開催され、立正佼成会から庭野日鑛会長の代理として赤川惠一総務局外務グループ次長が出席しました。各国からイスラーム、ユダヤ教、キリスト教、仏教などの宗教指導者、学者ら約130人が参加。セッションの中で赤川次長は、庭野会長のメッセージを伝えました。

「国際諸宗教対話会議」は、サウジアラビアのアブドッラー国王の主導と後援によるものです。昨年の同会議はスペイン・マドリードで開催され、国際的な諸宗教、諸文化対話におけるイスラーム世界からの歴史的なアプローチとして注目を集め、各国のマスコミにより全世界に報道されました。本会から庭野会長が出席し、セッションで仏教者の立場からスピーチを行いました。
今年7月にはオーストリア・ウィーンで、昨年の会議の成果を確認するとともに今会議の準備会合と位置づけられたフォローアップ委員会が開催され、本会から赤川次長が出席しています。
主催団体であるイスラーム世界連盟は、1962年に創立されたイスラームの国際組織です。サウジアラビアの聖都マッカ(メッカ)に本部を置き、世界に40以上の支部を持ちます。国連経済社会理事会のメンバーであり、協力、共生、対話の精神に基づいて人類の福祉に貢献する活動を展開しています。今会議には、同連盟のアルトゥルキ事務総長からの招聘(しょうへい)を受け、日本からは赤川次長(庭野会長代理)をはじめ板垣雄三・東京大学名誉教授、サミール・ヌーハ同志社大学教授が出席しました。
9月30日の開会式では、ミュリエル・ベルセット国連欧州本部スイス政府代表顧問(メルツ・スイス大統領代理)、WCC(世界教会協議会)のサミュエル・コビア総幹事、アルトゥルキ事務総長らがスピーチを行いました。アルトゥルキ事務総長は、昨年の会議で採択された「マドリード宣言」に触れ、アブドッラー国王の意向を受けて今会議が開催される意義を強調。人類共通の価値観に立つ重要性を指摘しました。
会議では『文明間の共生に向けた展望』『対話と人間的価値を推進するメディアとその役割』など六つのテーマでセッションが行われました。このうち『対話、人類そして社会』をテーマにしたセッションで、フロアから発言に立った赤川次長が、庭野会長のメッセージを伝えました。
メッセージで庭野会長は、昨年、同会議に出席した印象に触れながら「イスラームの教える本質的な寛容性を改めて学び、諸宗教への理解を深めたかけがえのない機会」と同会議の意義を強調しました。
また、「対話は前進するための最良の方法である」とのアブドッラー国王の言葉を引用。「アブドッラー国王さまの願いと、イスラーム世界連盟の皆さまの熱意によって進められている諸宗教間の対話促進の歩みが、今後も継続され、世界の宗教界を牽引してくださるよう願ってやみません」と諸宗教対話の潮流のさらなる発展に期待を寄せました。
セッション終了後、「ジュネーブ宣言」を採択しました。この中で、文明間の相互関係を検証したことに触れ、宗教が文化間の危機的関係をつくり出す要因でないことを表明。国際対話センターの創設などにも言及し、さらなるプログラムを実施しながら調和の取れた社会づくりを目指すことが確認されました。また、メディアの重要性を認めた上で、メディア戦略を展開する意向を示しました。今後、さらに多くの集会、会議、シンポジウムなどを開催し、対話の文化、共有する価値の促進などが目指されます。

(2009.10.09記載)