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2009年10月05日 庭野平和財団が第二回「GNH(国民総幸福量)に関するシンポジウム」を開催

庭野平和財団の第二回「GNH(国民総幸福量)に関するシンポジウム」が10月5日、佼成図書館視聴覚ホールで開催され、約60人が参加しました。 

GNHはブータンの前国王により提唱され、GNP(国民総生産)やGDP(国内総生産)といった経済発展の指標ではなく、幸福度によって豊かさを示そうとする概念です。当日は『日本におけるGNH(国民総幸福量)のかたち』をテーマに、活発な議論が交わされました。
シンポジウムでは、明治学院大学国際学部の辻信一教授が基調発題。食料や環境、エネルギー、経済などさまざまな分野での今日の危機的状況に触れ、諸問題の根本には「文明の危機があるのではないか」と指摘しました。
産業革命から現代に続く近代文明が「経済成長」を基軸とし、石炭、石油といった化石燃料を元にかつてない物質的豊かさをもたらしたものの、その豊かさは他国や未来世代の人々の資源を使用することで成り立っていると説明。石油の採掘量がピークを過ぎたとする報道が各国で行われている中、資源の枯渇、需要と供給のバランスの崩壊で、現代の豊かさは即座に失われる「幻想」のようなものと語りました。
さらに、近代文明の特徴は、「物質的な豊かさが幸せ」とし、多くの人がそう信じている点にあると強調。それぞれの宗教の開祖や思想家が物質的豊かさと幸せとを明確に区別していることを挙げ、「豊かさと幸せは同義語であるどころか、しっかり区別するべきこと。各企業、各自治体、各家庭などで幸せとは何か、もう一回問い直すことから始めていけばいいと思う」と述べました。その上で、GNHの提唱国であるブータンが掲げた「自然環境の豊かさ」「伝統文化の保全と促進」「良い政治」「公正な経済発展」からなる国の方針を説明。生活風景などをスライドで紹介しました。
このあと、関西大学社会学部の草郷孝好教授がコーディネーターを務め、水俣市役所農林水産振興室の冨吉正一郎氏、WWB/ジャパン(女性のための世界銀行日本支部)の奥谷京子代表、特定非営利活動法人「明るい社会づくり運動」の槇ひさ恵副理事長をパネリストにディスカッションを実施。GNHの理念を生かしたそれぞれの取り組みを紹介しました。

(2009.10.16記載)