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2010年07月12日 佼成病院に関する訴訟の和解について

立正佼成会理事長 渡邊恭位

平成22年7月8日、最高裁判所において、立正佼成会は、佼成病院で平成11年8月16日、中原利郎医師が投身自殺された件について、ご遺族との間で和解をさせて頂きました。
裁判の中では、私共に対し、「リストラをして医師を辞めさせた」「小児科の売上げを上げろと医師に言っていた」など、事実とは異なるさまざまな指摘がなされました。またマスコミにおきましても、不見識な病院という趣旨の報道が相次ぎました。インターネット上にも、批判的な意見が数々書き込まれました。誤解が、また新たな誤解を生むという状況に、私共は、大変心を痛めておりました。
私共関係者で対応を協議する中、こうした誤解を根本から解くには、各方面への徒(いたずら)な発信・発言によるのではなく、事実を証拠によって明らかにするほかに道はないとの結論に至り、眼前の裁判に臨んできたところであります。

裁判は、1審、2審ともに、本会が勝訴判決を得ました。その後、和解という決断を致しましたのは、最高裁判所の格別の配慮があってのことはもちろんですが、社会はじめご遺族に、私共の立場をご理解頂く機縁になるのではないかと考えたことによります。また、より良い病院経営を目指してきたにもかかわらず、医師の自殺という不測の事態が生じてしまった現実を直視しなければならないと受けとめました。そして、二度とこうした悲劇が繰り返されないことを願いつつ、和解に応じさせて頂きました。
この度の和解の根幹となる和解条項は、決して勝ち負けという価値観で判断すべきものではありません。特に4項には、「当事者双方は、今後、本件事案並びにこの和解の経過及び結果を公表する場合には、原判決認定事実(原判決が引用する第1審判決の認定事実を含む。)を前提としてこれを行い、相手方病院を含む我が国の医療現場におけるより良い医療を実現することを希求するという本和解の趣旨を十分に尊重し、相手方当事者を誹謗(ひぼう)中傷しないことを相互に確約する」とあります。
これは、裁判で証拠をもって認定された事実を大前提とし、この認定事実に反したり、認定されていない事実を前提とした議論を行うといった誹謗中傷は、今後一切しないという条項です。さまざまな証拠を出し、検討が尽くされてきた結果が実を結んだものと言うことができます。
ご遺族はご遺族のお立場で、また私共は私共の立場で、この訴訟に関(かか)わってまいりましたが、裁判所は、その経過、その結果生じている事態を見据えた上で、「我が国におけるより良い医療を実現するとの観点から、当事者双方に和解による解決を勧告した」としています。そして、「当事者双方は、原判決が認定した中原医師の勤務状況(相手方病院の措置、対応を含む。)を改めて確認するとともに、医師不足や医師の過重負担を生じさせないことが国民の健康を守るために不可欠であることを相互に確認して」、和解条項の内容で和解し、「本件訴訟を終了させる」こととしたものです。

さらに私共は、和解調書第1項において、「中原医師の死亡が新宿労働基準監督署長により労災認定された事実を真摯(しんし)に受け止め、同医師の死亡に深く哀悼の意を表する」との一文を明記させて頂きました。佼成病院にとって、中原先生は同僚であり、後進の者を育成するかけがえないリーダーでもありました。改めて衷心より哀悼の意を表したいと存じます。
この度の訴訟に関しましては、会員の皆さまをはじめ、多くの方々にご心配をおかけしておりました。最高裁判所より頂きました和解の機会は、こうした状況を前に、佼成病院が地域医療に正面から復帰できるようにとのご配慮でもございました。もとより、私共は、これまで各方面の方々より頂きました種々のご指摘につきまして、受け入れるべき点は、謙虚に受けとめ、今後の病院経営に活かしてまいります。そして、心の通い合う病院づくりに向け、一層努力していくことをお誓いし、ここにご報告とさせて頂きます。

平成22年7月12日

(2010.7.16記載)