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2010年09月19日 東京佼成ウインドオーケストラが創立50周年記念ヨーロッパ・ツアー


トリノのリンゴットホールでのコンサート。会場を埋め尽くした満員の観客から、何度もアンコールの声が上がりました

東京佼成ウインドオーケストラ(TKWO)による「創立50周年記念東京佼成ウインドオーケストラ・ヨーロッパ・ツアー」が9月19日から10月4日まで実施されました。これまで、プロ吹奏楽団の先駆者として日本の吹奏楽界をけん引してきた同楽団。卓越した演奏技術は海外からも高い評価を受けています。今回はイタリア、スイス、ドイツ、トルコの4カ国8会場で演奏会を開催。首席客演指揮者のダグラス・ボストック氏が指揮を務めました。各会場には、TKWOの演奏を待ち望んでいたファンが詰めかけ、連日の盛況と讃辞に、改めて同楽団の世界的な実力を示すツアーとなりました。ローマでのオープニングでは、庭野光祥次代会長が同楽団名誉団長としてあいさつしました。現地での反響を紹介します。


マリアポリ・センターの演奏会では、ツアーのスタートに合わせて光祥次代会長がスピーチ

フォコラーレでの演奏からスタート 光祥次代会長がスピーチ

『TKWO創立50周年記念コンサートにようこそ』の文字が掲げられたローマ郊外にあるフォコラーレ運動の「マリアポリ・センター」。9月19日、TKWOのヨーロッパ・ツアーがスタートしました。
開演を前にメンバーと共に訪れた名誉団長の光祥次代会長は、同運動の創設者であるキアラ・ルービック師、同諸宗教対話責任者を務めたナタリア・ダラピッコラ師の眠る墓の前で祈りを捧(ささ)げ、マリア・ボーチェ会長と懇談しました。このあと、コンサート会場で、演奏を前に光祥次代会長が登壇。「今年はTKWOの創立50周年のみならず、ローマ教皇パウロ六世と庭野開祖との出会いから45年目」と述べると、会場から大きな拍手が沸き上がりました。続いて、ボーチェ会長が「東京の大聖堂でスピーチした時、TKWOの奏でる音色で迎えられた」と紹介し、今回のコンサートが庭野開祖とキアラ師がもたらした二つの団体の友情を祝うものとあいさつしました。

世界で最高のウインドオーケストラ 手拍子で観客も参加

ヨーロッパ・ツアーでイタリアを訪れたTKWOは9月22日から24日まで、トリノ、ヴィツェンツァ、ポルデノーネの3市でコンサートを開きました。どの会場も満席となり、中には300人近くのキャンセル待ちも出ました。
ヴィツェンツァでの開演を前に同国公演を主催したデラフォンテ氏に開催の意図を尋ねると、即座に「ウインドオーケストラの分野では、TKWOが世界で最高だからだ」との答えが返ってきました。著名な作曲家を数多く輩出し、どの小さな町にもオペラ座や市営劇場がある国の専門家が断言しました。
同氏の言葉は、お世辞ではありませんでした。トリノ市のコンサートでは、2千人がリンゴットホールを埋め尽くしました。グレグソン作曲の『フェスティーヴォ』、ミヨーの『フランス組曲』の演奏ごとに聴衆から拍手が送られました。また、リード作曲の『法華経からの三つの啓示』、シュウェルツの『ウズメの踊り』などの作品を通し、日本や仏教文化による幽玄の世界を表現。コンサートの後半では、ホールを埋め尽くした聴衆が総立ちとなり、手拍子を鳴らして演奏に参加しました。管弦楽団の演奏会では見られない、ウインドオーケストラならではの光景でした。
今回の公演を伝えるイタリア語のウェブサイトには、TKWOが「1960年に日本の在家仏教教団・立正佼成会によって『東京佼成吹奏楽団』として結成」され、「技術がプロ化し、活動が多様化」する中、73年に「東京佼成ウインドオーケストラ」に改称された経緯などが説明されています。また、「1989年の欧州公演以来、幅広い支持を得、世界で最も高い技術を有するウインドオーケストラの一つと評価されている」と記されました。最近は、ウインドオーケストラのための国際作曲コンクールを主催していることを紹介。「世界的な視点からの展望を広げ、吹奏楽の普及に努める」と評価しました。
23日、ヴィツェンツァでは、青年層を中心とする吹奏楽の愛好家がホルストの『第2組曲』、シュウェルツの『ウイングス/ピアノと吹奏楽のための協奏曲』などに聴き入りました。数度にわたるアンコールの要請に応え、行進曲を演奏し始めると、会場は総立ちとなり、手拍子で演奏に参加しました。コンサートの終わりを惜しむかのように玄関ホールや外の広場で談笑する人々からは、「CDを持っているので聴きに来たが、やはりライブは良かった」「新しい音色と鮮烈な音楽」といった声が聞かれました。『バレエ組曲/天の岩戸』を「イタリアでは聴くことのできない音楽」と評する女性もいました。


須川展也(サクソフォン)、宮川和宏(オーボエ)、アントニオ・ピリコーネ(ピアノ)の3氏が演奏を披露


光祥次代会長の隣で、アンサンブルを楽しむフォコラーレ運動のマリア・ボーチェ会長


古い歴史を持ちながら主要な産業都市として栄えるエスキシェヒルで、初のトルコ公演が行われました


スイス国内で知名度の高いTKWO。2005年以来のルツェルン公演に、満場の喝采がおくられました


ウルムは、音楽の盛んなドイツ国内でも吹奏楽が愛好される土地。精度の高い演奏が、聴衆を納得させました


コンサートの合間をぬって、トリノの学生に熱心に指導するコンサートマスターの須川展也氏


ツアーで指揮者を務めたダグラス・ボストック氏。珠玉のハーモニーを生みだしました

(2010.10.15記載)