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2010年11月01日 職員人権啓発講座で狭山事件の石川さんらが講演

立正佼成会「同和推進本部」による第14回職員人権啓発講座が11月1日、法輪閣第5会議室で行われました。『見えない手錠をはずすまで』をテーマに部落解放同盟中央本部の安田聡氏と、「狭山事件」で無期懲役刑が確定しましたが、「無実」を訴えている石川一雄さん(72)=仮釈放中=が講演。220人が参加しました。

講座では、同推進本部事務局長の中山惠市総務局外務グループ次長があいさつ。立正佼成会が「同宗連」(『同和問題』にとりくむ宗教教団連帯会議)に加盟して「部落差別」の解消に取り組んでいることを改めて報告しました。
続いて、登壇した安田氏が、「狭山事件」は「冤罪(えんざい)と部落差別という二つの問題を含んでいる」と述べ、1963年に発生した少女の誘拐、殺害事件の概要と警察の対応を説明。被差別部落に対する市民の偏見を基に、事件と関連付けた差別に満ちた当時の新聞記事を紹介しながら、警察が被差別部落を集中的に捜査し、石川さんの逮捕に至った取り調べの問題点を指摘しました。加えて、脅迫状の筆跡、証言など新証拠を例示し、石川さんを犯人とする矛盾点を挙げ、再審請求の取り組みを紹介。「『冤罪』をはらすとともに、この背景にある『差別』をなくす。そして、このようなことが二度と起こらないように」と人権の確立を強く訴えました。
続いて、登壇した石川さんは、逮捕後の取り調べの状況や心情を述懐。一方、第一審の判決後に収監された拘置所で、石川さんの訴えを信じてくれた刑務官の助力で字を覚えることができ、自らの立場や事件への認識を深めた体験を披歴しました。
多くの人に支えられている現在に感謝の意を表すとともに、「私は『無実』だから、すぐに『無罪』にしてくれと言っているわけではありません。法廷の場を開いて頂きたい。裁判で事実審理されることによって真実が明らかになるはずです」と述べ、再審の実現と協力を要請しました。

【メモ】

◆狭山事件 1963年5月1日、当時16歳の少女が誘拐されました。その後、警察は身代金の受け渡しに現れた犯人を取り逃がし、少女の遺体が発見されました。捜査は被差別部落に集中し、石川一雄さんが逮捕され、裁判で無期懲役が確定。しかし、証拠や自白に不可解な点が多い。石川さんは「無罪」を訴え、現在、東京高裁に第三次再審請求を申し立てています。

(2010.11.12記載)