News Archive

2011年02月19日 大正大学で公開シンポジウム 『無縁社会と宗教者-新しいネットワークの創出』

中央学術研究所が賛助会員として加盟する国際宗教研究所主催の公開シンポジウムが2月19日、東京・豊島区の大正大学で開催されました。テーマは『無縁社会と宗教者-新しいネットワークの創出』。中央学術研究所の篠崎友伸所長、藤田浩一郎次長らを含む約150人が参加しました。

パネリストとして國枝欣一・東京新教会牧師、阪井健二・土生神社宮司、中下大樹・真宗大谷派僧侶、渡辺順一・金光教羽曳野教会長が出席、弓山達也・大正大学教授が司会を務めました。
シンポジウムでは、高齢者の孤独死の増加など家族や地域の人間関係の希薄化による社会問題に対し、孤独や挫折などに苦しむ人への各人の活動が報告され、問題解決に向けた宗教者の役割について意見が交わされました。
國枝氏は、牧師として青年や婦人と触れ合う中で、相手の話に真剣に耳を傾ける大切さを再認識したと報告。社会参加の困難な青年が集う「オープンスペース“Be!”」の取り組みを紹介し、「相手に尊敬の心を持つことで支え合う社会が構築できる」と語りました。
阪井氏は阪神・淡路大震災や新潟県中越地震でボランティア活動に携わった経験から、地域に根ざす伝統文化が人間関係の回復に有効と指摘しました。
一方、中下氏は、孤独死の件数が年間3万2千件に上り、10年間で5倍に急増したと説明。僧侶としてこれまでに2千人以上の死に向き合った体験に触れ、「人は孤立が一番つらい。思いを聞いてくれる人が一人でもいるだけで、人は救われていく」と宗教者の役割を訴えました。
渡辺氏は、全国にある新宗教団体の各施設が地域に開かれ、寺社の檀家(だんか)や氏子のネットワークが活かされていくことが必要と提案。仕事や住居を失った人をサポートする「大阪希望館」の取り組みに触れ、「一人ひとりに“伴走者”的にかかわる支援の仕組みをつくることで無縁社会の状況は変わる」と語りました。

(2011.2.25記載)