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2011年02月21日 庭野会長、世界イスラーム連盟主催「国際諸宗教対話会議」に出席


庭野会長はスピーチの中で、WCRP日本委による「イスラーム指導者会議」に触れ、真実の宗教の姿を明らかにする必要性を強調した

世界イスラーム連盟(MWL、本部=サウジアラビア・マッカ)が主催し、中國回教協會(本部=台湾)が共催する「国際諸宗教対話会議2011--人類の共通の絆(きずな)」が2月21、22の両日、台湾・台北市内の国家図書館で開催され、立正佼成会から庭野日鑛会長が出席しました。佳重夫人が同行、根本昌廣外務部長が随行しました。会議にはサウジアラビア、台湾、インド、韓国、タイ、日本など14の国や地域からイスラーム、キリスト教、仏教、道教などの宗教指導者、学者ら約300人が参加。庭野会長は第4パネルでスピーチを行うとともに、第2パネルの議長を務めました。

庭野会長スピーチ要旨


『宗教者に共通する人間の価値』と題した第2パネルで議長を務める庭野会長。フロアとの対話も活発に行われた

世界イスラーム連盟の主催による「国際諸宗教対話会議」は、サウジアラビアのアブドッラー国王の主導と後援によるもので、2008年にスペイン・マドリードで第1回が行われました。その後、オーストリア・ウィーンでフォローアップ会合が、スイス・ジュネーブで会議が行われ、今回、初めてヨーロッパを離れ、アジアでの開催となりました。
サウジアラビアはムスリムの二大聖地であるマッカ(メッカ)とマディーナ(メディナ)を有し、イスラーム諸国の中でも保守的な国として知られ、イスラーム世界で大きな影響力を持ちます。主催団体である世界イスラーム連盟は、1962年に創立されたイスラームの国際組織で、マッカに本部を置き、世界に40以上の支部を有します。国連経済社会理事会のメンバーであり、協力、共生、対話の精神に基づいて人類の福祉に貢献する活動を展開しています。
庭野会長は、同連盟のアルトゥルキ事務総長から招聘(しょうへい)を受け、マドリードでの会議でスピーチを行い、ジュネーブの会議でも、代理として出席した赤川惠一総務局外務グループ次長が、庭野会長のメッセージを伝えました。今会議には、日本からは庭野会長はじめ水谷周・アラブイスラーム学院学術顧問、小原克博・同志社大学教授、またエジプト人のサミール・ヌーハ・同志社大学教授が出席し、スピーチしました。
会議は国家図書館の国際会議場で行われました。開会式は、コーランの祈りで始まり、台湾の馬英九総統が登壇。「儒教では仁愛をもとに生活している。人の心こそがすべての宗教のもとであり、イスラームもまた同様であると思う」と述べ、さまざまな宗教が、多様な考えを尊重し、共同の活動を行っていくことの意義を認め、会議に期待を寄せました。
続いて、アルトゥルキ事務総長があいさつに立ち、国際的な大きな流れを踏まえた上で、人類の共通の価値を見いだし、どのような協力に焦点を当てていくかを協議していくことが大切、と会議の意味合いを強調しました。
このあと、2日間にわたり、『東南アジアにおける宗教者の関係についての歴史的洞察』『宗教者に共通する人間の価値』『現代の課題に共に直面して』『文明的対話と未来への展望』の4テーマに基づいて、パネルディスカッションが行われました。
庭野会長は、21日午後の第2パネル『宗教者に共通する人間の価値』で議長を務め、22日午後の第4パネル『文明的対話と未来への展望』では、パネリストの一人として『文明間の共存への道』と題してスピーチを行いました。
この中で庭野会長は、WCRP(世界宗教者平和会議)創設40周年記念事業の一環として昨年、京都で開催された「イスラーム指導者会議」に言及。同会議で採択された「平和と共存のためのイスラームのメッセージ」の内容を紹介し、「『文明間の共存への道』を確実に歩んでいくには、このような会議を通して、誤解や偏見を払拭(ふっしょく)し、真実の宗教の姿を明らかにすることが不可欠」と述べました。また、自分と異なる宗教を信奉する人々も皆、固有の信仰と出遇(であ)い、その教えをもとに、平和な世界を目指して真剣に生きていると見る立場に立ってこそ、真に他を尊重する思いが湧(わ)き起こる、と宗教者に必要な姿勢を示しました。
会議では最後に、対話の文化を推進し、共存の体験を実践の基盤としていく「共同宣言」が採択されました。


会場となった台北市内の国家図書館。正面には自由広場を望む


会議には、台湾のムスリム女性も多数参加し、フロアから活発に意見を発表した


14の国と地域から約300人が参加。イスラームをはじめ、それぞれの宗教の祈りが込められた

諸宗教指導者らと意見交換 理解と交流 更に深める


アルトゥルキ事務総長に部屋に招かれ、懇談する庭野会長。マドリードの会議以来の旧交を温めた(台北市内のホテル)

世界イスラーム連盟(MWL)主催の「国際諸宗教対話会議」が今回、初めてアジアの地で行われました。台湾には5万人のムスリムが暮らし、ムスリムの移民は15万人に上るといわれます。MWLには創立当初から加盟しており、庭野日鑛会長との懇談の中で、アルトゥルキ事務総長は「今回は、アジアでの開催を念頭に置いており、台湾の宗教に対するオープンな姿勢と協力への強い心が開催地決定の要因となった」と語りました。中國回教協會が共催し、台湾外交部、台湾宗教與和平協進會(TCRP)、世界宗教博物館が開催を強くサポートしました。
会議では、アジアでの宗教関係史の分析、イスラームと東洋文化の関係、宗教や民族の共存に対する障害、現代的課題と道徳・倫理、メディアや言語学の課題、宗教間・文明間対話の必要性など幅広い内容に関して活発に意見が交換され、相互理解が深められました。
アジアから、多くの諸宗教者が参加したことについて、財団法人台北市文化清真寺(イスラームモスク)の馬超興教長は、「異なる宗教・宗派が一堂に会し、私たちは人類の共同の価値を見いだすために、非常に有意義な時間を費やすことができた」と感想を話しました。
また、2回目の参加となった庭野会長は、パネリストとしてスピーチを行うとともに、第2パネルでは議長を務めた。アルトゥルキ事務総長をはじめとしたイスラームの指導者、諸宗教からの参加者との交流も一層深まりました。
WCRP日本委が昨年、京都で開催した「イスラーム指導者会議」に言及した庭野会長のスピーチについて、同志社大学のサミール・ヌーハ教授は、「特に、『ジハード』の概念と私たちムスリムや他の宗教者にとって全く新しい概念である『まほろば』が関連していることを理解することができた。また、日本で行われている諸宗教対話・協力の強いメッセージともなった」と、会議に与えた影響を分析しました。


開会式には、台湾の馬総統が臨席。宗教者の役割に期待を寄せた


今回の会議では、アジアからの参加者が多数を占め、活発に意見を交わした

(2011.03.04記載)