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2011年07月08日 UUA50周年記念総会 庭野光祥次代会長スピーチ 要旨


4千人で埋め尽くされたUUA総会の会場

3月11日、日本の東北地方は大地震、大津波に見舞われました。UUAの皆さまから、いち早く義援金を頂戴(ちょうだい)したことに、心より感謝申し上げます。
仏さまの教えには「諸行無常」、この世のあらゆるものは一瞬もとどまることなく変化している、と説かれています。東北では、あの一瞬を境にして何もかもが変わってしまいました。さっきまで確かにそこにあったものがすべてなくなり、そこにいるのが当たり前だった家族に二度と会えなくなりました。
私も津波で大きな被害を受けた東北地方にまいりました。それはまさに壊滅的な被害であり、想像を絶する惨状でした。
開祖は常々、〈己を忘れて他を利する〉菩薩行の大切さを説いておりました。それは今も私たち会員一人ひとりの心の中に生きています。今回の震災でも、多くの人々の心が苦しみにとらわれ、絶望から生きる気力を失いそうになる中、自らも被災者でありながら、他の人を思いやり、他の人のために力を尽くすことができた佼成会の会員は、復興へと歩み出す勇気を得ることができました。
釜石教会の婦人部長さんは、毎日、被災した多くの人やボランティアのために、仲間と一緒に食事を作っています。三食のメニューを考え、材料をそろえ、たくさんの人数分の食事を作るのはとても大変なことです。
彼女は言いました。「今の私にはそれを乗り超える力を与えてくれるものがあります。それは、私にはいのちがある、私は今生きているということです。ふと空を見上げると青い空が広がっている。そんな当たり前のことが実に美しく、私の心を打ち、前へ進む力を与えてくれるのです。震災や津波に遭わなければ、そうした大事なことに気づきませんでした。世界中の皆さんの真心に支えられて私たちは一歩一歩進んでゆきます」。
この話は貴協会のウィリアム・シンクフォード前会長さまが、私どもの教団創立65周年式典でご紹介くださった力強い次のお言葉とも重なるように思います。
「友よ、勇気を持て、道はしばしば険しい、そして迷いも多かろう、さまざまな障害も多かろう、勇気を持て、深くおのれを見つめれば、新しい真実が見えてくる。君は一人ではない」
貴協会と本会との精神的な深い結びつきによる絆(きずな)は、開祖と、初代UUA会長デイナ・グリーリー博士とホーマー・ジャック博士との出会いに始まります。とりわけ、お互いを「ソウル・メイト(魂の兄弟)」と呼び合ったグリーリー博士と開祖との友情は、今も私たち二つの団体を一つにつなぎ、いささかも揺らぐことはないと信じております。
二人の偉大な先達の出会いと時を同じくして生を受け、お二人と身近に接する機会を頂き、その情熱と友情を間近に感じて育った私には、異なる宗教を信ずる者同士が互いに相手を敬い、笑顔で手を携える宗教協力は決して特別なことではなく、むしろ当たり前のことに感じられます。これはお二人が次に続く私たちの世代に遺(のこ)してくださった最も大切な財産です。
UUAと私どもの強い絆が、国際社会における宗教協力の発展、そして世界平和を願うあらゆる人の大いなる希望の光となることを確信するとともに、今日という奇跡の瞬間を共に過ごさせて頂いていることに感謝し、挨拶(あいさつ)とさせて頂きます。

(2011.07.08記載)