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2011年07月06日 教団付置研究所懇話会「第11回生命倫理研究部会」

教団付置研究所懇話会の「第11回生命倫理研究部会」が7月6日、京都・亀岡市の大本本部みろく会館で行われました。テーマは『生殖補助医療』。16の研究機関から47人が参加しました。立正佼成会からは中央学術研究所の藤田浩一郎次長が出席しました。

当日は、立命館大学大学院生(先端総合学術研究所後期博士課程)の利光恵子氏が『産むこと・生まれることを考える-出生前診断を中心に』と題して講演しました。利光氏は、体外受精による生殖補助医療の一つである「受精卵の着床前遺伝子診断」について、染色体異常があると流産が多いという観点から、胚(はい)移植(着床)の前に受精卵を選別することは妊娠出産率の向上を図る目的がある一方、遺伝性疾患の回避を進めるものであると指摘。たとえ流産防止であったとしても、同診断は生命の選別につながる大きな倫理問題を含んでいると説明しました。
次いで、天理大学おやさと研究所の金子昭教授が『諸宗教に通底する“いのちの尊厳”と生殖補助医療の諸問題』をテーマに発表。医師や精子、卵子の提供者、代理母など夫婦以外の第三者を介在させる不妊治療に対し「いのちの尊厳を揺るがす」と懸念を表しました。また、そうした治療の場合、当事者は「当該の不妊夫婦だけではない」と話し、「誰が社会的弱者であるかを見極め、寄り添い、声なき声に応答するのが宗教者である」と訴えました。

(2011.07.15記載)