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2011年11月11日 一食平和基金運営委員会 被災地で活動する9団体に計4800万円を寄託


沿岸部では、基幹産業である水産業の立て直しが地域復興の要といわれている。浄財は震災で被害を受けた水産施設の新設、復旧費用に役立てられる(写真は震災で地盤沈下し、満潮時に冠水する宮城・気仙沼漁港)

立正佼成会一食(いちじき)平和基金運営委員会(委員長=沼田雄司教務局長)はこのほど、東日本大震災に対する新たな支援として、被災地で活動する九つの団体に対し、計4800万円の寄託を発表しました。同震災被害への緊急支援(総額5億円)の一環で、会員の「一食を捧(ささ)げる運動」によって寄せられた浄財が活用されます。なお、同運営委員会はすでに、被災した各自治体の災害対策本部に義援金を寄託したほか、救援・復興活動を行うNGO(非政府機関)7団体に対して資金助成を行っています。

このほど支援先に決定されたのは、NGOやNPO(非営利活動法人)をはじめさまざまなグループや個人とネットワークを築きながら、被災者支援、被災地の復興活動に取り組む中間支援組織など4団体です。「元気玉プロジェクト」に300万円、「ふくしま連携復興センター」に500万円、「宮城連携復興センター」に500万円、「遠野まごころネット」に500万円をそれぞれ寄託。浄財は、各団体が行うきめ細かな被災者へのサポートをはじめ、長期的な活動を行うための人材育成、また多様な支援のコーディネートなどに役立てられます。
加えて同運営委員会は、石巻市など沿岸部の水産業の再開を重視し、石巻市漁業協同組合、石巻市水産加工業協同組合、渡波水産加工業協同組合、女川魚市場買受人協同組合、気仙沼漁業協同組合に合計3千万円を寄託しました。各組合が管理・運営する水産業の各種施設や設備は津波によって壊滅的な被害を受けており、浄財はそれらの新設、修繕費用などに充てられる予定です。
同運営委員会では、沿岸部の復興のカギとなる水産業の再開、再興の後押しが地域の活性化や被災した市民を勇気づけることにつながればと期待を寄せています。
なお、これらの寄託先のうち、「ふくしま連携復興センター」を長島弘修郡山教会長、「遠野まごころネット」を小林克州釜石教会長、石巻市周辺の各組合を安井利光石巻教会長らがそれぞれ訪問。各団体の代表と面会して「一食を捧げる運動」の趣旨を伝え、支援金の目録を手渡しました。

◆岩手 高齢者の生活を支援 遠野まごころネット

10月5日、小林克州釜石教会長は特定非営利活動法人「遠野まごころネット」(岩手・遠野市)の事務所を訪れ、佐藤正市・同法人理事長に500万円の支援金(目録)を手渡しました。本会一食(いちじき)平和基金運営委員会を代表して小野賀章委員=市原教会=が同行しました。
佐藤理事長は県内で実施しているさまざまな活動や今後の課題などを述べたあと、本会の支援金が役立てられる「個人サポート」事業の重要性を強調。仮設住宅で暮らす高齢者に対する家庭訪問活動や生活支援など、孤立を防ぐための施策を詳説し、「活動内容や成果が見えにくい事業ですが、とても大事な活動です。皆さんのご支援に感謝を申し上げます」と語りました。

遠野まごころネット「個人サポート」事業担当 小谷雄介氏

岩手県内の避難所は8月末にすべて閉鎖し、被災者の方々は仮設住宅へと移りました。経済的な問題など生活に不安を抱えている人が多く、これから見守り活動が大事な時期を迎えます。また、被災前の集落ごとの入居ではないため、今はまだ近隣の人間関係が希薄な状態です。
これから本格的な冬を迎え、さらに部屋の中に閉じこもりやすくもなります。そういう中で、孤立を防ぐためにも新しいコミュニティーの形成が非常に重要になってきます。 私たちは被災者の方の声を聞き、寄り添い、コミュニティーを再生していくのが役目だと考えています。仮設住宅での炊き出しやイベントの開催などを通じて少しでも心をほぐしていきたいと思います。
活動の成果は見えにくいものですが、必要としている人がいます。皆さんからのご支援でこの活動を続けてまいりたいと思います。

◆宮城 漁業施設の復旧へ 包括地域内水産業

10月27日、安井利光石巻教会長が石巻市漁業協同組合を訪れ、鈴木勝参事に500万円の支援金(目録)を手渡しました。鈴木参事は同組合の被害状況を説明し、「皆さんからの有り難い支援に感謝いたします。石巻の漁業の復興に向けて、頑張っていきたい」と謝意を述べました。次いで安井教会長は隣接する石巻市水産加工業協同組合で須田耕一郎参事と面会し、700万円(目録)を寄贈しました。
また同日、同教会総務部の水間士郎外務担当部長が牡鹿郡女川町の女川魚市場買受人協同組合を訪れ、遠藤貢参事に支援金500万円(目録)を、石巻市の渡波水産加工業協同組合で鈴木潔代表理事に800万円をそれぞれ寄贈。翌28日には気仙沼漁業協同組合を訪問し、佐藤亮輔代表理事組合長に500万円を手渡しました。
津波により、沿岸部の水産施設は壊滅的な被害を受けた。漁業や海産物の加工をはじめとする水産業に従事する住民からは、漁港に欠かせない製氷・貯氷などの水産施設の再開を求める声が強く、復旧が急がれています。各組合に寄託された浄財はそうした水産施設の新設、復旧などの費用に充てられます。

渡波水産加工業協同組合 木村安之参事

東日本大震災の津波により、宮城県沿岸部の漁港など水産施設が大きな被害を受けました。私たちの組合が運営する製氷施設、貯氷施設はほぼ全壊しました。
石巻はこれまで水産業を基幹産業に発展してきた町であり、漁師や加工業者など、水産業をなりわいとしている人が多くいます。そうした人々にとり、組合が提供する氷は仕事をする上で必要不可欠な物です。水揚げされた水産物を製品としてスーパーなどに出荷するには、鮮度を保つために大量の氷が必要です。氷がなければ魚を捕ることもできない、というのが現実です。
まずは再び氷を提供できるよう製氷施設の復旧を急ぐことが、地域の水産業復興につながると考えています。皆さまから頂いた温かいご支援を力に、石巻の水産業を立て直せるよう地域の仲間とともに前進していきたいと思っています。

◆福島 支援の絆づくりを ふくしま連携復興センター

長島弘修郡山教会長は11月4日、福島市内にある福島大学を訪問し、「ふくしま連携復興センター」幹事の丹波史紀・福島大学准教授に500万円の支援金(目録)を寄贈しました。
同センターは7月末、それまで同県内に行政機関や各NPOなどの支援状況を統括、調整する組織が存在しなかったことを受け、設立されました。県内外の団体と連携し、被災者支援、町の復興活動を多面的に推進していくことを目的に掲げています。本会の浄財は、同センターの活動基盤となる人材育成、ならびにネットワーク構築のための費用などに充てられます。

ふくしま連携復興センター 丹波史紀幹事(福島大学准教授)

福島県の沿岸部は地震、津波の被害に加え、原子力発電所の事故の影響で、15万人以上が県内外での避難生活を余儀なくされています。地元のNPOなどは個別に活動を行っていましたが、支援の公平性など復興に向けた支援者側のネットワークづくりの重要性を踏まえ、「ふくしま連携復興センター」が誕生しました。
被災者に対しては、自立した生活を送れるよう、物資提供、雇用の問題など側面的にサポートしていきます。仮設住宅や、自治体が民間賃貸住宅を借り上げている「みなし仮設」での支援も必要です。さらに県内はもちろん、県外に避難された方がこれまで持っていた地域とのつながりを回復できるような取り組みも考えていくつもりです。
震災当初、県内に入るボランティアの数は被災した他県と比べて小規模でした。受け入れ態勢が整っていなかったという反省もあり、今後は、県外からの支援を受け入れるしっかりとした基盤も作っていきます。
皆さんの貴重な浄財を有効に活用させて頂き、一日も早く故郷を取り戻すことができるような活動を展開していきたいと思います。

(2011.11.11記載)