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2012年04月27日 アフリカ毛布ボランティア隊 エチオピアリポート 丁寧に「真心」を届けて


隊員とエチオピアの人々は、ひとときの出会いを喜び、互いの平安を祈った

「平成24年次アフリカ毛布ボランティア隊」(隊長=清水宏一郎財務グループ次長。本会会員とJHP・学校をつくる会のメンバーで構成)の一行21人が、4月27日から5月6日までエチオピアを訪れ、同国最北部に位置するティグレ州で毛布の配付活動を行いました。一行は現地NGO(非政府機関)のREST(ティグレ救援協会)の協力を得て州内の4カ所を訪問。まだまだ毛布への需要が高い中で、干ばつに苦しむ高齢者や障がい者などに対し、日本からの「真心」1533枚を丁寧に手渡しました。

4カ所で配付活動

配付活動に先立ち、RESTスタッフの一人、テクレハイマノック・ハードグゥ氏(サムレ・セハルティ地区コーディネーター)が一行に言葉をかけました。昨年発生した東日本大震災に触れ、「日本の皆さんが大変な困難を抱えていることを知っています。そのような中でも、エチオピアの人々を助けようと愛と責任感をもって支援を続けてくださっている。感謝の心が一層増しています」。
人口約450万人を抱えるティグレ州は度重なる干ばつの被害により、貧困率の高い地域です。加えて、昼と夜の寒暖の差が大きく、高齢者や障がい者など収入を得る術(すべ)を持たない人などは特に厳しい生活を強いられています。「毛布」はそうした人々にとって、夜間の寒さをしのぐなどいのちを守るために用いられています。
同州に滞在中、一行は4カ所で配付活動を行いました。各配付場所では、子供から高齢者、杖をついたり家族に手をひかれたりした障がい者など、大勢が一行の到着を待ちわびていました。RESTや自治体が厳密な調査を行い、最貧困層と見なした家庭に各1枚だけ毛布を配付します。
隊員たちはさまざまな思いを胸に、一人ひとりと視線を合わせ、声をかけたり、体に触れたり、手を包みこんだりしながら毛布を丁寧に手渡していきました。人々は隊員の手にキスをし感謝を表していました。
娘に手を引かれ、15㌔の道のりを歩いてきたという全盲の男性(37)は、「これまでは寒い夜でも子供たちに薄い服を着させることしかできなかった。毛布は、妻と3人の子供と使います」と喜びを口にしました。ソマリア戦争時代、兵士として駆り出され、そのため11年間刑務所に収容された経験を持つ全盲の男性(65)は、「私の人生にはたくさん苦しいことがありました。でも今、この毛布をもらい、皆さんに優しくされ、本当に幸せです」と語りました。

気づき、学びを発表

配付の列には、HIV陽性者やエイズ患者も並びました。RESTのスタッフによると、かつては偏見や差別を恐れ、自らの感染を打ち明ける人はいませんでしたが、毛布の配付対象者となれることを知り、名乗り出るようになったといいます。結果、治療のサポートにつながっています。スタッフは、「毛布」の果たしている重要な役割を強調しました。
一行はこのほか、過去に毛布を受け取った家庭の訪問や本会一食(いちじき)平和基金がRESTと協力して進める植林事業の視察を行い、エチオピアの人々の暮らしとともにある日本からの「真心」の様子を確認しました。
ティグレ州を離れる前夜、隊員たちは体験の分かち合いの時間を持ち、それぞれの気づきや学びを発表し合いました。
様子を見守ったREST企画調整部長のガタチュウ・カライウ氏は、いまだ厳しい同国の現状や人々の暮らしについて語ったあと、「私たちエチオピア人も頑張ります。すべての人々が貧困から脱出できるまで10年かかるか、15年かかるか分かりませんが努力を続けていきます。私たちと皆さんの変わらぬパートナーシップを願っています」と述べ、継続した支援や今回の活動に深く感謝を示しました。
同国滞在中、隊員たちへ多くの人から東日本大震災に対する見舞いや励ましの言葉が寄せられました。一方、隊員たちは自らの、そして多くの日本の仲間から託された同国の人々への祈りや真心を全身で表現しました。思い思われる、支え支えられる世界に生きる喜び、尊さをかみしめる「ボランティア隊」となりました。

(2012.06.01記載)