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2012年08月03日 比叡山宗教サミット25周年記念「世界宗教者平和の祈りの集い」


開会式では、同集い実行委員会の代表者と海外招請者が壇上に並んだ。本会から顧問の庭野会長、副実行委員長の渡邊理事長が登壇した

8月3、4の両日、京都市左京区の国立京都国際会館、滋賀・大津市の天台宗総本山比叡山延暦寺などを会場に、比叡山宗教サミット25周年記念「世界宗教者平和の祈りの集い」(主催・同集い実行委員会=日本宗教連盟に協賛する五団体はじめ諸宗教宗派・教団で構成、立正佼成会も参画)が開催されました。2日間の日程で記念講演、シンポジウム、フォーラム、「世界平和祈り式典」などが行われ、本会から庭野日鑛会長、佳重夫人、庭野光祥次代会長、渡邊恭位理事長はじめ近畿支教区などから多くの会員が参加しました。


比叡山延暦寺根本中堂前広場で行われた「世界平和祈り式典」。庭野会長はWCRP日本委会長として登壇し、世界平和の取り組みを誓願した

1986年に当時のローマ教皇ヨハネ・パウロ二世の呼びかけでイタリア・アッシジで「平和祈願の日」の集いが開催され、世界の宗教者が平和の祈りを捧げました。比叡山では翌87年、山田惠諦・第二五三世天台座主の提唱で、日本宗教連盟加盟五団体を中心に構成される「日本宗教代表者会議」を主催団体に「比叡山宗教サミット」が開催されました。アッシジの集いの精神を引き継ぎ、平和のために宗教者が共に祈り、実践につなげていくことを目的としたものです。以来毎年、天台宗国際平和宗教協力協会などの主催により比叡山で集いが催され、国内外の宗教者が宗教宗派を超えて祈りを捧げてきました。
今回は、25周年の節目を迎えて記念の集いと位置づけられました。本会も実行委員会に参画し、庭野会長が実行委員会顧問、渡邊理事長が同副実行委員長に名を連ね、外務部、京都教会が運営に携わってきました。テーマは『自然災害の猛威と宗教者の役割――3・11大震災と原発事故への反省と実践』。国立京都国際会館での開会式には13カ国からキリスト教、イスラーム、仏教、神道などの宗教者約1200人が参集しました。
開会あいさつ、歓迎あいさつに続き、世界仏教徒連盟会長、ローマ教皇、サウジアラビア宗教大臣のメッセージがそれぞれ紹介されました。引き続き、『自然災害と人間の文明』をテーマに記念講演が行われ、哲学者の梅原猛氏が「『草木国土悉皆成仏(そうもくこくどしつかいじょうぶつ)』という思想」と題して講演。このあと、『被災者に宗教者は如何に向き合ってきたか』をテーマにシンポジウムが行われました。各国のパネリスト5人が、自らの体験を交えながら、自然災害に対する宗教者の行動、役割などについて発表しました。シリアからの緊急報告のあと、渡邊理事長が副実行委員長として初日の閉会あいさつを述べました。
翌4日のフォーラムのテーマは『原発事故が提起したエネルギー問題と宗教者の立場』。6カ国のパネリストがそれぞれの国が置かれた立場などに触れながら、エネルギー問題、さらには現代文明の諸課題や人間のライフスタイルを考察し、宗教者の立場と責任を確認しました。コーディネーターの指名で、フロアから光祥次代会長が発言しました。
午後、会場を比叡山延暦寺根本中堂前広場に移し、「世界平和祈り式典」が行われました。平和の黙とうの後、主催者を代表して実行委員会名誉顧問の半田孝淳天台座主があいさつ。続いて七つの宗教、組織ごとの「平和の祈り」が捧げられました。この中で、新宗連(新日本宗教団体連合会)の祈りで渡邊理事長が登壇。庭野会長は諸宗教組織代表の一員として壇に登り、WCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会会長として、真に平和な世界の実現に向けて一層精進することを誓い、祈りを捧げました。
最後に「比叡山メッセージ2012」を発表、芳村正德・日宗連(日本宗教連盟)理事長が読み上げました。この中で、核廃棄物の処理方法が確立していないことを指摘し、原発の稼働は宗教的、倫理的に許されないと言明。一方で、宗教者が警鐘を鳴らす責任を果たしてこなかったことに対する反省の意も示しました。さらに宗教者が各地の災害の被災者に寄り添うとともに、人々の平安のために連携を深め、使命を全うしていくことを表明しました。

シリアの和平に協力求める イブラヒム大主教が訴え

3日、国立京都国際会館で行われた比叡山宗教サミット25周年記念「世界宗教者平和の祈りの集い」の席上、シリア正教アレッポ大主教のマー・グレゴリオス・イブラヒム師が、緊迫するシリアの現況を訴え、和平に向け世界の宗教者に協力を求めました。
同国ではチュニジアやエジプトの「アラブの春」の影響を受け、昨年3月以降、民主化を求めるデモや集会が各地に拡大。政府の武力鎮圧をきっかけに反体制派と軍・治安当局との衝突が激化し、内戦状態に陥っています。
この内戦でレバノンやヨルダンなど隣国に脱出する難民が急増。一方、国連は戦闘の激化で死者数の推計は不可能と表明しました。今年2月、国連とアラブ連盟によるシリア担当合同特使にコフィ・アナン前国連事務総長が就任し、停戦交渉にあたってきましたが、見通しが立たずに8月末での辞意を表し、事態は混迷の度を深めています。
登壇したイブラヒム大主教は冒頭、「飛行場への道路は封鎖されており、この重要な集いに参加できたのは奇跡的」と発言。各都市で暴力行為が続く現状を説明するとともに、社会への影響について「民族や文化、言語が異なっていても調和を維持していた国民が、それぞれが大切にする文化や宗教に忠誠を尽くすことで宗派や派閥間といった次元で内戦が起きている」と述べました。また、国連による制裁で政権よりも国民が痛手を被り、軍事介入は一層の混乱を招くと指摘しました。
平和への道筋として、「停戦と治安の回復」「国際機関による人道援助の実施」「対立する党派・組織による交渉の場の設定」「諸宗教・民族代表による国民会議の設置」などの必要性を強調。その方策を示しました。
その上で、「流血を食い止め、シリア国民に平和と繁栄と尊厳と安らぎをもたらすために力を貸してください。皆さまの支援と祈りを必要としています」と訴えました。

(2012.08.10記載)