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2012年12月07日 WCRP日本委「東日本復興支援」「協働」に集まる共感


福島の子供たちを招いてのキャンプ風景(寺子屋方丈舎との共催。11月23~25日。福島・南会津町で=写真提供・WCRP日本委)

WCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会は、「東日本復興支援」として被災地での地道な支援活動を続けています。特に宗教者の立場から「いのち」を大切にする取り組みを重視。行政の支援が届きにくく、苦しい立場に置かれている被災者に対し、復興への祈りを込め、心のケア、地域コミュニティーの再構築、社会的弱者への支援、放射能被害への取り組みなどを行ってきました。財政支援だけでなく、被災者と共にプロジェクトをつくり上げ、一緒に運営にあたる「協働」型の支援活動は、現地の人々の共感と評価を得ています。同委員会の支援活動に対しては、立正佼成会も街頭募金や献金、現地でのボランティアなどを通して積極的に参画しています。

被災者と共に企画・運営 約20のプロジェクトを展開

震災後、WCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会の呼びかけにより、全国で加盟教団による「緊急支援」の街頭募金が実施されました。寄せられた浄財は約2億6千万円。このうち総額1億2500万円が被災地の自治体や社会福祉協議会、民間団体などに寄託されました。
その後、現地のニーズを踏まえ、当面5年をめどとする「東日本復興支援」に移行。専門チームとして「震災タスクフォース(特別事業部門)」が立ち上げられました。
昨年12月には、宮城・仙台市に仙台事務所を開設。現地のニーズに即応し、地域に密着した支援活動を継続的に行う環境が整えられました。
復興支援の本格的なスタートとなる本年、『「東日本大震災をけっして忘れない」ための祈りと行動』をテーマに、3月から5月まで「震災復興キャンペーン」を展開。期間中、①岩手・大槌(おおつち)町での慰霊祭②全国での追悼と鎮魂の黙とう③福島・会津美里町の仮設住宅でのボランティア④街頭募金⑤復興に向けた宗教者円卓会議(仙台)が行われ、本会も参画しました。
円卓会議で被災地の人々から寄せられた要望を基に、「心のケア」「地域コミュニティーの再構築」「社会的弱者への支援」「放射能被害への取り組み」が復興支援の柱として位置付けられました。現在、被災地で約20のプロジェクトが展開されています。
「心のケア」では、東北大学大学院の「実践宗教学寄附講座」の運営に参画。同講座は被災者への宗教的なケアのあり方を学ぶもので、公共性を持つ「臨床宗教師」制度の創設を目指しています。また、宮城県の宗教者、医師、学者などで組織する「心の相談室」の傾聴活動や電話相談などにもあたっています。
「地域コミュニティーの再構築」では、祭りや伝統芸能の復興、仮設住宅での傾聴などを通して地域・自治体コミュニティーを再構築するプロジェクトなどを行っています。
「社会的弱者への支援」では、岩手・大槌町の神社を青少年育成や高齢者福祉の拠点とするプロジェクトなどを進めています。
「放射能被害への取り組み」では、原発事故の影響で避難生活を送る子供たちなどを招いてキャンプを2回行ったほか、今後、福島の問題に焦点を当てた会議の開催を予定しています。
プロジェクトはすべて、財政支援と同時に、被災者と共に企画・運営にあたる「協働」型で進められています。被災者の思いを分かち合い、共に復興に取り組む姿勢は、現地の人々の共感や評価を得ています。
 同委員会では、今後も被災者に寄り添いながら、地道で息の長い支援活動を続けていく予定です。

篠原祥哲・同委員会仙台事務所所長の話「被災地では震災関連死などの問題が深刻化する一方、ボランティアや支援団体、マスコミの報道などは減っています。そのギャップを埋めるため、皆さんから頂いたご浄財を大切に活用させて頂くと同時に、現地の方々の声に耳を傾けながら、その思いを広くお伝えさせて頂きたいと考えています」

(2012.12.07記載)