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2012年12月15日 「平和と調和のためのバングラデシュ仏教徒会議」僧侶ら110人が参加


会議には、バングラデシュの仏教者が一堂に集結。諸宗教の人々と協力し合い、平和社会の実現に向け仏教徒が行動することを確認した

立正佼成会バングラデシュ教会(有富教順教会長)は12月15日、昨年9月に一部の過激なムスリム(イスラームの信徒)が同国南部の仏教寺院などを襲撃したことを受け、チッタゴン市内のホテルで「平和と調和のためのバングラデシュ仏教徒会議」を開催しました。同国仏教界の主流であるサンガラージャ派、少数山岳民族の仏教徒・ラカイン族、マルマ族など31団体から僧侶や在家信者ら110人が参加。本会から赤川惠一外務グループ次長が出席しました。会議では、報復による暴力の連鎖を止め、諸宗教の人々と手を携え、慈悲と寛容の精神を基に調和のとれた社会を築く「声明」を採択。同国仏教界の連帯組織の設立に向けた委員会が発足しました。なお、会議は本会一食(いちじき)平和基金の支援で開催され、同教会会員が運営にあたりました。


採択された「声明」は、ソヨダ官房長官(左端)に直接手渡された

調和を目指し「声明」採択

昨年9月、インターネットの交流サイト「フェイスブック」に、同国の仏教徒の男性が燃やされたイスラーム聖典(クルアーン)の画像を掲載したとし、2万5千人を超えるムスリムがコックスバザール県ラム市など4地域にある仏教徒の集落を襲撃しました。約20の仏教寺院に放火するなどして破壊し、100件以上の民家も被害を受けました。
このほど開催された「平和と調和のためのバングラデシュ仏教徒会議」は、日頃より国内仏教徒の連帯に向け取り組みを重ねてきた本会バングラデシュ教会が呼びかけたものです。今回の暴動事件を受け、仏教者が一堂に会し、ムスリムへの報復をしないことを確認する目的で実施されました。
会議では、参加団体を代表し、少数山岳民族の仏教徒代表であるキョウ・ショウ・ラ氏や赤川次長ら9人が発表に立ちました。この中で、同国仏教界の最高位にあるダルマセン・マハストビル師は、上座部仏教の影響が強い同国で、僧侶と在家信者が共に行動するのは画期的なことだと説明。「一人ひとりが日常の中で仏の教えを実践し、人間性を高めることが平和への道」と述べ、仏教徒が心を一つにして社会貢献に努める大切さを強調しました。
参加者は『怨みによって怨みの息(や)むことなし』という法句経の一節を確認した上で、調和のとれた世界を目指して仏教徒が行動する重要性をうたった「声明」を採択。その具現を目指す仏教徒の連帯組織「バングラデシュ仏教徒会議」の設立に向けた委員会を発足させました。
また席上、本会一食平和基金による仏教寺院の復興支援が紹介され、赤川次長からダルマセン師に目録が手渡されました。
委員会のメンバーで、前バングラデシュ仏教会理事長のラカル・チャンドラ・バルア氏は、「会議を通し、仏教徒が団結できたことの歴史的意義は大きい。いつかは他宗教の人々とも対話を重ね、互いを尊び合う社会をつくりたい」と語りました。
17日には、有富教会長らがダッカ市内の国会議事堂を訪れ、ソヨダ・サジェダ・チョウドリー官房長官と面会し、「声明」を手渡しました。ソヨダ官房長官は、「それぞれの宗教を尊重することは政府の指針でもあります。皆さんの活動を私たちもサポートしたい」と述べ、取り組みの発展に期待を寄せました。
なお、会議は同国内18社のマスコミによりテレビ、新聞などで報道されました。

◆メモ

イスラーム国家のバングラデシュでは、ムスリムが人口の約9割を占める。仏教徒は1%に満たない上、独自の仏教文化を持つ少数民族など約300の団体がそれぞれ活動し、これまで連帯の動きは見られなかった。また同国南部では、隣国ミャンマーで仏教徒から迫害を受け、逃れてきたロヒンギャ族(ムスリム)が避難生活を送る一方、同地域に暮らすベンガル人(ムスリム)が仏教徒の少数民族の家や土地を奪うなどし、緊張が続く。そうした対立感情を利用して紛争をあおるイスラーム過激派、反政府組織も多く、民族、宗教の相違を理由とした衝突が繰り返されている。

本会一食平和基金 バングラデシュの仏教寺院復興を支援

本会一食(いちじき)平和基金はこのほど、昨年9月、一部の過激なムスリム(イスラームの信徒)によって破壊されたバングラデシュ南部の仏教寺院の復興に向け、300万円の支援を実施しました。「平和と調和のためのバングラデシュ仏教徒会議」(12月15日)の席上、赤川惠一外務グループ次長から同国仏教界の最高位にあるダルマセン・マハストビル師に目録が手渡されました。
ムスリムによる暴動は、コックスバザール県ウキヤ郡など4地域で発生しました。本会バングラデシュ教会の調査によると、約20の歴史的な寺院などが襲撃によって破壊、焼失し、100件を超える仏教徒の民家が被害を受けたことが分かっています。
浄財はバングラデシュ教会を通し、同国仏教界の連帯組織「バングラデシュ仏教徒会議」に寄託されます。今後、各地の仏教寺院の再建などに役立てられる予定。

◆声明『バングラデシュの平和と調和のための仏教徒の声明  あらゆる暴力を超えて』(要旨)

2012年9月29、30の両日、バングラデシュ南部の古代遺跡や仏教寺院、仏教徒の民家が不測の襲撃を受けたことを私たち仏教徒は遺憾に思います。事件の原因となったソーシャルネットワークサービスは、人と人を繋(つな)ぎ、友情をつくり上げていく道具です。これを利用して流言飛語を広め、このような状況を故意につくり出した行為を私たちは受け入れられません。
私たちは個人的、社会的、民族的な利益を得るために宗教を利用することに強く反対します。平和を志向する私たち仏教徒は、あらゆる宗教と協力することを望んでいます。
全ての仏教徒の聖典である『法句経』で、ブッダは次のように述べています。
『実にこの世において、怨(うら)みによって怨みの息むことは決してなく、怨まないことによってはじめて息む。これは永遠の真理である』
私たちは、宗教の違いが決して人を分かつものではなく、問題の原因となるものではないと信じます。宗教は世界の調和や平和の源であり、人間の尊厳を尊重し、同時に全ての人々を幸福にするものです。
本日、チッタゴンに集まった「平和と調和のためのバングラデシュ仏教徒会議」の参加者は、全ての仏教徒が法句経に述べられている仏の教えをもう一度思い起こすよう強く促します。私たち仏教徒が暴力の連鎖を止め、宗教の違いにとらわれず、慈悲喜捨の心で人類の平和と安全を求めることをここに提案します。いかなる暴力や報復も決して正当化はできません。これは仏教徒が少数派であろうと、多数派であろうとも全く異なることはありません。
私たち仏教徒は法句経の教えを基に、異なる宗教の信徒と共に調和のとれた世界をつくり上げるために努力していきます。また、全ての社会において人々の精神的な高まりと成長に貢献していきます。

2012年12月15日

(2013.01.18記載)