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2015年05月19日 WCRP日本委員会「復興に向けた宗教者円卓会議」を開催 被災地支援へ、宗教者の役割などを討議


会議では、市民団体代表者や宗教者らが復興に向けた諸課題や活動状況を報告。改めて被災地における宗教者の具体的な役割、今後の展望について意見が交わされました

WCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会による「復興に向けた宗教者円卓会議in東京」が5月19、20の両日、東京・渋谷区の国連大学エリザベス・ローズ国際会議場で開催されました。同委役員や被災地で復興に取り組む宗教者、市民団体の代表、行政関係者など約100人が参加。立正佼成会から同委理事の庭野光祥次代会長をはじめ、同じく理事の川端健之理事長、同委震災復興タスクフォース委員の根本昌廣外務部長らが出席しました。

同会議は、東日本大震災以降、仙台、福島を会場に毎年行われ、今回、初めて東京で開催されました。被災地で避難生活を送る人々や支援活動を展開する関係者の意見を聞き、改めて現状や復興に向けた課題を学び、被災地以外からの支援のあり方、宗教者の役割について考える機会として位置づけられました。
19日、杉谷義純WCRP同委理事長(天台宗宗機顧問)のあいさつに続き、『5年目を迎えた被災地の現状』をテーマにセッション1が行われ、行政関係者、宮城・福島・岩手3県の市民団体代表者4人が発題しました。
この中で、復興庁復興推進参与の田村太郎氏は、阪神・淡路大震災後の地域再建と比較し、東北での復興がなかなか進まない要因として、日本の人口減少と経済収縮を指摘。復興庁が行う被災者支援を説明し、今後は行政だけでなく宗教者や市民など多様な担い手が連携することが大切と強調しました。
『被災地における宗教者の役割・意義』と題したセッション2では、大学関係者、宗教者が登壇しました。発題者の一人、宮城県普門寺副住職の高橋悦堂師は震災後、犠牲者の亡きがらを僧侶が協力して弔う中で、人の心に寄り添い、供養を営める尊さに改めて気づいた体験を発表。被災地の状況を精査し、「今後も宗教、宗派を超えて互いに協力していきたい」と語りました。
翌20日、『災害における宗教者の可能性』をテーマに掲げたセッション3では、河北新報社報道部副部長で震災取材班統括キャップの松田博英氏、大阪大学大学院人間科学研究科准教授の稲葉圭信氏が発題。松田氏は「宗教者は人々の心に寄り添い、苦しみからの解放や死への問いかけに応えるなど、さまざまな可能性を秘めている」と取材を通じた学びを伝えました。また、稲葉氏は日頃から宗教者が地域社会とつながりを持つ重要性を訴えました。
続くセッション4では、『福島県におけるコミュニティづくりの取り組みの課題』と題して、同県で活動する市民団体の代表者4人が発表に立ち、放射能から子供を守るための母親たちの取り組みや、原発事故以来、県外で避難生活を送る被災者の苦悩などを語りました。

(2015年6月 4日記載)