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2016年02月02日 KAICIID ウィーンで「世界諸宗教調和週間」のプログラム開催


フィッシャー大統領は講演の中で、KAICIIDの対話の実践を評価しながら、宗教を利用した暴力を阻止する必要性を強調しました

KAICIID(アブドッラー国王宗教・文化間対話のための国際センター)は2月2日、オーストリア・ウィーン市内の同本部で、「世界諸宗教調和週間」のプログラムを開催し、立正佼成会から同理事の庭野光祥次代会長が出席しました。根本昌廣宗教協力特任主席が随行しました。席上、初めて同本部を訪れた同国のハインツ・フィッシャー大統領が講演しました。


光祥次代会長は、他の理事らと共に、フィッシャー大統領を迎えました

「世界諸宗教調和週間」は2010年の第65回国連総会でヨルダン政府の提案により採択されました。相互理解と宗教間対話が平和文化の重要な要素であることを確認し、毎年2月の第1週が同週間に定められました。
KAICIIDは2日、同本部にフィッシャー大統領を招き、同週間のプログラムを開催、地域の宗教者、政治関係者、マスコミ関係者、KAICIID理事など約100人が参加しました。光祥次代会長は、他の理事と共に大統領を迎えました。
集いでは、最初にKAICIIDのファイサル・ムアンマル事務総長が歓迎のあいさつ。同センターが9の宗教・宗派を代表する理事によって運営されていることに触れながら、対話による相互尊重とパートナーシップの大切さを強調し、現在の取り組みの内容を紹介しました。フサム・アルフセイニ駐オーストリア・ヨルダン大使のあいさつに続き、フィッシャー大統領が講演。「他者も神の被造物である」との認識を示した上で、他者との境界線に橋をかけていく対話の役割を認め、相互のいのちを大事にするというKAICIIDの姿勢を高く評価しました。さらに、難民問題はじめ現在の国際状況を憂慮しながら、宗教を利用した暴力を阻止する必要性に言及。諸宗教対話は共存の根本であると述べました。
KAICIIDは2012年11月の開設以来、対話による平和構築を目指し、「MCC(子供の生存と幸福な生活のための諸宗教による協働)」「フェローズ(青年宗教者の対話促進)」「他者のイメージ」の各プログラムを柱に活動を展開してきました。WCRP(世界宗教者平和会議)国際委員会とも協力関係にあります。
一方、欧州では近年、「イスラーム」を名乗る過激派によるテロ行為が増加し、中東地域やイスラームへの批判が一部で高まっています。サウジアラビアの主導で設立されたKAICIIDに対しても、オーストリア保守政党、メディア、人権団体などから非難の声が上がり、本部周辺でデモ抗議も行われました。KAICIIDは関係機関やオーストリアに駐在する各国の大使館関係者と対話を行い、問題解決に努めてきました。今回、オーストリアの大統領を迎えて集いが開催されたことは、対話による平和への道筋を後押しするものと評価されます。
なお、前日の1日には、ニーダーエスターライヒ州のメルク修道院(カトリック・ベネディクト会)で同週間にちなんだ『平和の晩祷(ばんとう) 2016年』が開催され、同国内の諸宗教者が参集。KAICIIDの他の理事と共に光祥次代会長も参加し、各宗教宗派の代表者のスピーチに耳を傾けました。

(2016年2月12日記載)