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2016年02月12日 教団本部 本会独自の環境マネジメントシステム構築、導入へ


環境に関する活動を各部署が自主的に実施。『エコミニ説法』と題した発表会を毎月行うグループもありました

立正佼成会本部は、昨年11月に開かれた第18回理事会で、国際標準化機構の定める「ISO14001」の認証登録を2月以降、継続しない方針を決めました。今後は、環境マネジメントシステム(EMS)の取り組みを継続しながら、本会独自の環境マネジメントシステム(Rems)の構築、導入を目指していきます。


環境問題への取り組みの一つとして、大聖堂正面玄関上のバルコニーに設置された太陽光発電装置

同認証は、企業や団体など組織活動による環境への影響を持続的に改善するシステムを構築し、継続して実施していく国際規格。教団本部では、地球温暖化改善を目指すとともに同認証の取得に向け、平成20年末から、本部周辺施設や青梅練成道場、生誕地道場、佼成霊園などを対象に、具体的な目標を定めて活動し、振り返り、継続的に改善する環境マネジメントシステムを導入しました。
21年には環境に配慮した取り組みの指針として、「いのちの尊重」「共生の実現」「簡素なライフスタイル」を基本姿勢とした「環境方針」を策定し、仏教精神を基盤に調和と共生、平和な世界を目指していく姿勢を公表。各部署にエコリーダーを設け、実施計画に基づいて電気、紙、ごみの削減と「一食(いちじき)を捧げる運動」の推進に取り組みました。各業務の見直しを進めた結果、翌22年2月に同認証を取得しました。
その後も、環境方針にある「基本姿勢」や「行動指針」に沿って、職員の環境意識の啓発を図るとともに、温室効果ガス(二酸化炭素)の排出削減、ごみの3R(リデュース=減らす、リユース=再使用、リサイクル=再資源化)を実施。炭素排出量を減らすため、空調管理の徹底、待機電力の削減、頻繁な消灯などに取り組みました。このほか、大聖堂などに太陽光発電装置を設置、また第二団参会館に生ごみ分解処理機を導入するなどして炭素排出量や一般廃棄物の削減に努めてきました。
環境に対する取り組みは本部職員に着実に浸透。各部署で、環境に関する活動を自主的に実施してきました。その結果、アンケートで評価する「職員の環境意識」は27年次まで5年続けて75ポイント以上を維持。EMS第2期最終年にあたった26年次には、炭素排出量および一般廃棄物が基準年のおよそ60%に減りました。それに伴い、光熱水費やごみ廃棄にかかる費用も大きく削減し、ともに目標を大幅に上回りました。
これまでの実績と成果を踏まえた上で、今年2月以降、国際規格の認証登録を継続しない方針が決定されました。今後は、EMSでの実践を仏教の視点から捉え直し、菩薩行の一環として本会の文化と融合させながら、環境配慮の推進・充実を図ります。具体的施策として、平成30年の教団創立80周年を契機に本会独自のEMS(Rems)の構築、導入を目指していく予定です。

立正佼成会理事長 川端健之

平成22年に取得した国際標準化機構の定める「ISO14001」の規格認証を、本年2月をもって、更新しないことと致しました。
本会は、環境に配慮した組織活動を進めるには、独りよがりにならない、国際規格にのっとった環境マネジメントシステム(EMS)が必要との判断から、教庁をあげて具体的な取り組みを重ね、「ISO14001」の取得、更新をしてきました。今後は、その基本的な型を守りながらも、これまでの経験や学びを生かし、より本会にふさわしい活動を目指してまいりたいと思います。
教団創立80周年を一つの機縁に、仏教の智慧(ちえ)を基盤とした「立正佼成会独自のEMS」――「Rems」として、「地球の健康をとりもどす」お役を皆さまと共に果たせるような環境への取り組みを検討し、実現していきたいと願っております。
環境に対する本会の基本姿勢は、「いのちの尊重」「共生の実現」「簡素なライフスタイル」にあります。具体的には、本部周辺施設を対象としたEMSを構築し、各部署で環境に配慮した活動を推進してきました。
本会がEMSに取り組む目的の第一は、教えに基づいた環境意識を高め、各自の生活実践に結びつけることと言えます。私たち信仰者にとっては、宗教心に基づく生活実践が何よりも大切です。とりわけ地球というかけがえのない家が、「火宅」のように燃え尽きるのを押しとどめるという意味で、決して安閑としていられない切実な課題です。
その意味では、日ごろ取り組んでいる「一食を捧げる運動」も、貴重な実践と気づきの機会です。一食を抜き、献金することは、困難な立場にいる人々などに対する「同悲・祈り・布施」の菩薩行です。同時に、世界の現状に目を向け、自らの生活を省み、「少欲知足」のライフスタイルを心がけることは、環境を守るための最も根本的な実践であり、仏さまのものの見方を身につけることに直結します。
身近な例ですが、自宅の冷蔵庫に二つの牛乳パックがあったとしたら、誰もが消費期限の迫っている品物から使うと思います。スーパーで買う時も同じようにすれば、どれほど食品ロスを防げることでしょう。新しい「Rems」では、会員の皆さまと共に、自然な形で、いわば普段着で取り組める環境保全活動を編み出したいと考えています。
地球環境の問題は、未来の世代にも深刻な影響を及ぼします。また地球上に生きている全ての人のいのちに関わっています。将来的には、宗教協力でご縁のある他教団・他宗教・他団体の皆さまにもお知恵を頂きながら、できるだけ多くの方々と共に行動していきたいと心から願っております。会員の皆さまには、その中心として、一層のご理解とご協力を頂けますようお願い致します。
最後になりますが、本会のEMSの構築、「ISO14001」の認証取得に際しましては、地球環境保全に先駆的な取り組みをしておられる「生長の家」教団に、全面的なご協力とご助言を頂戴(ちょうだい)しました。ここに改めてあつく御礼を申し上げます。

(2016年2月12日記載)