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2016年02月12日 北東アジア非核兵器地帯設立に向け宗教者が声明

「核兵器のない世界」の実現に向け、北東アジアの非核兵器地帯化を求める声明『私たち日本の宗教者は、日本が「核の傘」依存を止め、北東アジア非核兵器地帯の設立に向かうことを求めます』が2月12日、キリスト教や仏教など4人の宗教指導者の呼びかけで発表されました。さらに、同声明への賛同を広く宗教界に呼びかける「『北東アジア非核兵器地帯宗教者声明』キャンペーン」(協賛・WCRP=世界宗教者平和会議=日本委員会)が同時にスタートしました。

呼びかけ人は、日本キリスト教協議会議長の小橋孝一師、天台宗宗機顧問でWCRP国際委員会軍縮安全保障常設委員会委員長を務める杉谷義純師、カトリック長崎大司教区大司教の高見三明師、浄土真宗本願寺派僧侶の山崎龍明師の4人。WCRP日本委が協賛し、NPO法人ピースデポが運営をサポートします。
同キャンペーンは、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の核開発などの脅威を抱える北東アジア地域の安定と平和構築を目指し、同地域の非核兵器地帯構想を推進することが目的です。これまで、ピースデポの呼びかけで自治体の首長を対象に署名運動が進められ、546人が同構想に賛同。昨年4月に広島、長崎両市長が署名を潘基文国連事務総長に手渡しました。今回、宗教界に運動を広げることを目的に声明が発表されました。
声明では、宗教者にとって核兵器の禁止と廃絶は「神聖な責務」であると表明。北東アジア非核兵器地帯の設立を支持し、日本が非人道兵器である核兵器への依存から脱し、被爆国として積極的に「核兵器のない世界」の実現に貢献するとの決意が示されました。
キャンペーンのスタートに合わせ12日午後には、東京・千代田区の衆議院第二議員会館で記者会見が行われました。呼びかけ人の小橋師、山崎師と共に、杉谷師の代理でWCRP国際委軍縮安全保障常設委員会のシニアアドバイザーを務める神谷昌道氏(立正佼成会主席)が出席。ピースデポの湯浅一郎副代表が進行役を務め、WCRP日本委の篠原祥哲平和推進部長が同席しました。
会見では、湯浅氏がキャンペーンの概要を説明後、呼びかけ人がそれぞれ経緯や願いなどを語りました。席上、神谷氏はWCRP創設の願いや宗教協力の歴史を解説。特に軍縮・核兵器廃絶は最重要課題であるとし、PNND(核軍縮・不拡散議員連盟)や平和首長会議のメンバーとの会合、昨年11月に開かれた科学者と宗教者の会議など関係機関と連携した、さまざまな取り組みを紹介しました。
また、世界90カ国以上に委員会を持つWCRPの特性を生かし、「国同士では難しい協力も、宗教者は国境を超えて助け合えることが利点。今回の取り組みを一歩踏み出す機会とし、世界平和に貢献していきたい」と決意を述べました。
なお、今後は国内の宗教指導者を中心に、声明の呼びかけ人、賛同者を募るとともに、キャンペーンを通じて集めた署名を日本政府や国連に提出する予定です。

声明文

『私たち日本の宗教者は、日本が「核の傘」依存を止め、北東アジア非核兵器地帯の設立に向かうことを求めます』

核兵器は、そのいかなる使用も壊滅的な人道上の結末をもたらすものであり、私たちの宗教的価値、道義的原則、そして人道法に反します。従って、宗教者にとって核兵器の禁止と廃絶は、神聖な責務であります。

「核兵器のない世界」実現のためには、すべての国が核兵器に依存しない安全保障政策をとる必要があります。被爆を経験した日本は尚更であり、一日も早く「核の傘」から出ることが求められます。北東アジア非核兵器地帯の設立は、日本の安全を確保しつつ「核の傘」から出ることを可能にする政策です。それは、「核兵器のない世界」に向けた国際的気運を高めるとともに、深刻化した北東アジア情勢を打開する有効な方法でもあります。

2013年7月、国連事務総長の軍縮諮問委員会が「事務総長は、北東アジア非核兵器地帯の設立に向けた適切な行動を検討すべきである」との画期的な勧告を行いました。また、2013年9月の国連ハイレベル会合において、モンゴルのエルベグドルジ大統領は、北東アジア非核兵器地帯の設立への支援を行う準備があると表明しました。さらには、米国、オーストラリア、日本、韓国などの著名な研究者たちが北東アジア非核兵器地帯設立への包括的なアプローチを提案しています。

私たち日本の宗教者は、北東アジア非核兵器地帯の設立を支持し、これによって日本が非人道兵器である核兵器への依存から脱し、被爆国として積極的に「核兵器のない世界」実現に貢献することを求めます。

呼びかけ人(50音順)
小橋孝一(日本キリスト教協議会議長)
杉谷義純(元天台宗宗務総長、世界宗教者平和会議軍縮安全保障常設委員会委員長)
高見三明(カトリック長崎大司教区大司教)
山崎龍明(浄土真宗本願寺派僧侶)

(2016年2月25日記載)