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2016年09月13日 WCRP/RfP日本委 北朝鮮の核実験に杉谷理事長名で声明発表

世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会は9月13日、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が9日に行ったとされる「核弾頭爆発実験」に対し、杉谷義純同日本委理事長名で声明を発表した。

同日本委は、これまで北朝鮮が強行してきた4回の核実験に対し、東北アジアに深刻な脅威を生起させ、国際社会の緊張を高める行為として遺憾の意を表明し、対話による事態解決を要望してきた。
今回の声明では、北朝鮮の核実験が、国際社会が懸命に築いてきた核軍縮・核不拡散体制を根底から揺るがすものであると非難。一方、同国の核開発費用が全国民の食糧費1年半分に相当するといわれ、70%の国民が食糧不足に直面し、特に子供や妊婦に深刻な影響を与えていることから、宗教者として「この人道危機に深い懸念を禁じ得ない」と危惧を示した。
また、今年は国際司法裁判所(ICJ)が核兵器の違法性に関する勧告的意見を発表して20年の節目の年にあたる。今年8月に、国内外の宗教者で核廃絶について議論したことを踏まえ、東北アジアの非核化をもたらすためには、対話の場に北朝鮮の参加を促すとともに、「関係国による官民の壁を越えた不信の除去と相互理解の増進のための努力」が必要であると訴えた。

2016年9月9日朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核実験に対する
世界宗教者平和会議(WCRP/RfP) 日本委員会声明

 WCRP日本委員会は、北朝鮮のこの度の核実験に対し深く憂慮し強く反対を表明する。これまで北朝鮮が強行してきた4回の核実験に対してWCRP日本委員会は、こうした行為は、東北アジアに深刻な脅威を生起させ、広く国際社会にさらなる緊張を高めるものであると遺憾の意を表明し、国際社会、国連、さらに関係各国に対して適切な措置や対話による事態解決を要望してきた。
 今回の核実験は、これまで国際社会が懸命に築いてきた核軍縮・核不拡散体制を根底から揺るがすものである。また、核兵器の悲惨さ、非人道性を語り続けている被爆者の核廃絶への願いを踏みにじるのみならず、平和を願う世界の多くの人々の良心を裏切る行為である。
 一方、この度の核実験は北朝鮮自身の国際的な孤立をさらに深めさせ、国の経済に多大な打撃をもたらすのみならず、自国民に対して死活的な困難と犠牲を強いるものである。国連によれば、北朝鮮国民の70%が食糧不足に直面しており、経済的困窮は、特に子ども、妊婦、子育て中の母親に深刻な影響を与えている。北朝鮮の核兵器開発の費用は国民1年半分の食糧に相当するとも言われる現状に、私達は宗教者としてこの人道危機に深い懸念を禁じ得ない。北朝鮮は核兵器開発を即時中止するとともに、国際社会における核軍縮の場に復帰するよう強く訴える。
 国連安全保障理事会がさらなる制裁強化の検討に入っているが、その際には、北朝鮮による過剰な反応がなされることのないよう熟慮した勧告内容を期待したい。さらに、不測の事態が起きないためにも、対話による事態打開の道を閉ざすことなく、冷静かつ忍耐強くさらなる外交努力を続けるよう関係諸政府に要請する。
 朝鮮半島の非核化を進めるためには、東北アジア非核化地帯構想の進展と世界レベルにおける核兵器廃絶への動きをさらに加速させることが不可欠であると、私たちは考える。そのためにも、今月開会の第71期国連総会において交渉開始が見込まれる核兵器禁止条約に向けた協議のテーブルに加わることを核兵器国に求めたい。さらに核保有国や日本を含む核依存国は、北朝鮮の核実験を非難するだけでなく、自らの核政策を見直し、禁止条約に向けた議論に誠実に参加することが必要である。
 本年8月、WCRP日本委員会は国際司法裁判所(ICJ)が核兵器の違法性に関する勧告的意見を発表してから20周年を機に、国内外の宗教者間で核廃絶について議論した。そして9月には中国、韓国の宗教者と東北アジアの平和構築について率直な意見交換を行った。そこで改めて共有された認識は、東北アジアの緊張を緩和し非核化をもたらすために重要なことは、対話に北朝鮮の参加を促すことであり、各国政府の外交努力に加えて、宗教者を含めた市民社会による信頼と友好関係の醸成である。それは北朝鮮を含む関係国による官民の壁を越えた不信の除去と相互理解の増進のための努力である。
 私たち日本の宗教者は、世界90ヶ国をつなぐWCRP国際ネットワークと連携し、平和への深い祈りと粘り強い対話を通じて事態の解決に努めることを誓い、あわせて私たちの願いを国際世論に強く訴えるものである。

2016年9月14日
公益財団法人世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会
理事長 杉谷義純

(2016年9月23日記載)