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2016年11月10日 本会一食平和基金「宮城県復興支援事業」 復興担う7団体に293万5000円


被災地では、日々、変化する被災者のニーズに合わせ、中長期的な支援が求められている。写真は、「鮎川港まちづくり協議会」の特産物を使用したレシピ研究(提供=鮎川港まちづくり協議会)

東日本大震災の宮城県の復興に向け、本会一食(いちじき)平和基金運営委員会(委員長=根本昌廣宗教協力特任主席)はこのほど、「一食宮城県復興支援事業 復興まちづくり協議会等事務局ステップアップ助成」として、支援活動を展開する7団体に合計293万5000円を寄託した。復興支援事業は、被災者を継続的にサポートするもので、同県のほか、岩手、福島の両県でも実施。宮城県に対しては昨年も、非営利団体や住民組織などを対象に合計450万円の助成が行われており、今回が2回目となる。

東日本大震災から5年半が経ち、宮城県では、被災地域に暮らす住民の集団移転や、仮設住宅から復興公営住宅への移住に伴い、移転先での新たなコミュニティーづくりが必要となっている。一方で、公的機関などによる助成が縮小し、住民を支えてきた団体では人材や運営費の不足が深刻化している。
こうした状況を受け、同基金運営委員会では、各団体の連絡・調整に当たる「みやぎ連携復興センター」と協働し、住民が主体となって復興に向けた活動を進める自治組織やまちづくり協議会への継続的な支援を目的に、今回の助成先を検討。津波によって流失した防潮林の再生、コミュニティーづくりのためのサロン活動の実施、地域の再興を目指して新たに着手したオリーブ栽培など、中長期的な視野でまちづくりを展開する7団体を選定した。
この中で、石巻市の「鮎川港まちづくり協議会」は、津波により壊滅的な被害を受けた地元産業の復活を目指して特産物の開発に取り組むほか、景観の再生と観光客の増加を図る活動を展開する。これまで、同市立牡鹿(おしか)保健福祉センター清優館を会場に、旅館や民宿、ホテル、仮設の飲食店などの事業者を対象にした研究会を開催。事業者同士で地元の食材を生かした調理を披露してのレシピづくりや、まちづくりの専門家を招いて地域のブランディングとPR方法を研鑽(けんさん)する機会を提供してきた。このほか、特産品を生かして地域の活性化に努める千葉・南房総市や宮城・女川町への視察を実施している。
同協議会の齋藤富嗣会長は、「牡鹿半島の地域の魅力は、まず第一に『食』。鯨、牡蠣(かき)、銀鮭(ぎんざけ)、ホヤ、ホタテなど新鮮な食材が豊富なので、郷土料理による地域おこしを計画・実行しています。来訪者をおもてなしできるよう、近隣の商工会や観光協会、個人事業者などとも連携を図りながら半島全体の復興を牽引(けんいん)していきたい」と語った。

(2016年11月10日記載)