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2017年02月05日 災害弱者をどう守るか 宗教者としての災害への備え WCRP/RfP日本委 新春学習会 東俊裕氏(「被災地障碍者センターくまもと」事務局長)が基調発題

自身も小児麻痺を患い、車いすで生活する東氏。熊本地震での経験を踏まえ、皆で支え合う社会づくりの重要性を語った

地震や豪雨などの災害に見舞われた際、安全な場所に自力で避難することが困難な高齢者や障がい者、乳幼児、妊産婦、外国人など「災害時要援護者(災害弱者)」に対する支援の必要性が再認識されている。そうしたことを受け、本会も加盟する世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会は1月25日、新春学習会「宗教者としての災害への備え――災害時に特別な配慮が必要な方々への対応について」を法輪閣で開催。「被災地障害者センターくまもと」の東俊裕事務局長が基調発題を行った。

WCRP/RfP日本委は東日本大震災以降、被災地での復興支援事業を続けてきた。中でも、同委女性部会は、宮城・気仙沼市で障がい児者をもつ母親による団体「本吉絆つながりたい」と交流し、災害時の対応を学ぶとともに、避難所として宗教施設を開放するための事前準備を進めている。

東日本大震災で震災関連死が問題となったことを受け、平成25年には「災害対策基本法」が改正され、各自治体に災害弱者に配慮した「福祉避難所の指定」や「生活相談員の配置」などが義務づけられたが、いまだ十分に機能しているとは言い難い状況にある。

基調発題の中で東氏は、災害直後に多くの障がい者が避難所を利用できなかった背景を、事例を交えて説明した。発達障がい児をもつある母親は、子供の障がいを救援者に伝えても、「配給の列に並べないなら水は配れない」と断られた。また、避難所では車いす用のトイレの設置は後回しにされる、パニックを起こした精神障がい者が不審者として警察に通報されるなど、「周囲の無理解から、多くの障がい者は最も支援が必要なとき、食糧さえ手に入らない。災害復興の起点となる避難所を利用できないから、そこから始まる公的支援の網の目からもこぼれてしまう」と厳しい現実を吐露した。

共生社会の実現へ

避難所にとどまることもできず、次第に人々から“見えない存在”となっていく障がい者に対し、同センターが熊本市と連携して「SOSチラシ」を配布したところ、連日数十件の支援要請があったことを紹介。「見捨てられたと不安な中、誰かが来てくれる、話を聞いてくれることがどれほどその人を勇気づけるか。少しでも希望をもって頂けるよう、『つながっているよ』というメッセージを届けるのが僕たちの役目」と力説した。

さらに、昨年4月に施行された「障害者差別解消法」にある「合理的配慮を提供しないことは差別」という条文を挙げ、形式上は障がい者にも仮設住宅が提供されているが、トイレや風呂場など何も配慮がなされていないと説明。「今の社会、特に災害時においては、障がい者の立場に立って考える余裕がないのが現状。今後は、地域の中で障がい者と住民が共生していく支援を、宗教者の皆さんと一緒に考えていきたい」と訴えた。

この後、『私たち宗教者はどのように行動するのか』と題してパネルディスカッションが行われ、参加者を交えて活発に意見が交わされた。

(2017年2月5日記載)