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2013年02月09日 『3.11以後の日本社会と宗教の役割』テーマに 公開シンポジウム

『3・11以後の日本社会と宗教の役割』をテーマに、国際宗教研究所と宗教者災害支援連絡会の共同主催による公開シンポジウムが2月9日、東京・豊島区の大正大学で開催され、宗教者や研究者ら146人が参加しました。立正佼成会から同研究所の賛助会員として加盟する中央学術研究所の川本貢市所長、藤田浩一郎学術研究室長らが出席。WCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会の篠原祥哲仙台事務所所長が発表に立ちました。

シンポジウムは、宗教者が東日本大震災の被災地で行った支援を振り返るとともに、今後の日本社会における役割を見つめようと開催されたもの。稲葉圭信大阪大学准教授、黒崎浩行國學院大學准教授が司会を、曹洞宗通大寺の金田諦應住職、若一王子宮の川村一代権禰宜、WCRP日本委仙台事務所の篠原所長、CLC(クリスチャン・ライフ・コミュニティ)の林里江子被災地担当デスクの4人がパネリストを務めました。
金田住職は、仮設住宅などでコーヒーやケーキを無料で提供しながら、被災者の話に耳を傾ける傾聴移動喫茶「カフェ・ド・モンク」の取り組みについて発表しました。「目線と腰を低くして聞かせて頂くことが基本」と語ったほか、被災者が犠牲者の人生を振り返ることに寄り添い、共に悼むことも傾聴の大事な側面との見方を示しました。
川村権禰宜は日本では伝統的な祭事が住民の連帯を強めていたと述べ、特に震災後、その傾向が強まっていると語りました。
WCRP日本委の篠原所長は『震災対応における公共政策と宗教』について発表しました。地域コミュニティーの再構築に向け宗教が果たす役割の重要性を示す一方で、被災した宗教施設の再建に公的な補助がない現状なども報告。宗教が社会に対して一層公共性を発揮する大切さと、今後も積極的に復興に寄与していく必要性を強調しました。
またCLCの林師は、岩手・釜石市でボランティアの受け入れに携わった体験などを紹介しました。
パネリストの発議を受け、コメンテーターの浄土宗大蓮寺の秋田光彦住職、金光教羽曳野教会の渡辺順一教会長が発言。このあと行われた全体討議では、被災地外からの支援を早い段階で地元の宗教者に移譲していく体制づくりが提案されました。また、宗教、宗派を超え、宗教者が連帯して支援に当たる大切さなどが確認されました。

(2013.02.15記載)