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2016年09月23日 本会一食平和基金 東日本大震災被災地支援の5年間


一食平和基金は、被災地のニーズに合わせて浄財を拠出。着実に復興に役立てられている(写真は、今年2月の宮城県石巻市・日和山公園から見た旧北上川河口付近の被災地の様子)

東北地方の太平洋岸を中心に大規模な地震と津波が襲い、死亡と行方不明を合わせて2万人近くの犠牲者を出した東日本大震災。その発生から5年半が経過した。立正佼成会一食(いちじき)平和基金運営委員会(委員長=根本昌廣宗教協力特任主席)は、岩手、宮城、福島の3県をはじめとする東北や関東甲信越などの被災地域支援のため、2015年末までに5億9440万5634円の拠出を行った。5年間の支援の成果や課題、併せて、根本委員長の談話を紹介する。

発生直後、5億円の緊急拠出を決定 緊急支援に集中
東日本大震災の発生直後、同基金は、被災者の生活再建や地域の復興への活用を目的に、5億円の緊急拠出を決定した。このうち、被災地を抱える各自治体の災害対策本部に総額3億6700万円の見舞金を贈呈。現地で汚泥やがれきの撤去、炊き出しを行う特定非営利活動法人ジェンなど7団体にも合計1940万840円を拠出した。
さらに、本会主体の支援活動のうち、救援物資の提供、会員ボランティアや本部職員で構成された援助隊である「善友隊」の派遣などに5178万6393円を充当した。
また同基金は、刻々と変化する被災地のニーズに対応するため、現場で支援活動を行うNPOなどとのネットワーク構築に取り組む“中間支援組織”の協力が不可欠と判断。人材育成や多様な支援のコーディネートを展開するみやぎ連携復興センターや遠野まごころネットなど4団体に合わせて1800万円を寄託した。
加えて、石巻市など沿岸部の水産業の再興が地域の活性化につながるとの観点から、石巻市漁業協同組合、同水産加工業協同組合、渡波(わたのは)水産加工業協同組合、女川魚市場買受人協同組合、気仙沼漁業協同組合の5団体が行う復興整備事業に合計3000万円を支援。津波によって壊滅的な被害を受けた水産業の各種施設や製氷設備などの新設、修繕費用などに充てられた。
ほかにも、本会の復興支援事業「こころ ひとつに」プロジェクトの一環として行われた、東京佼成ウインドオーケストラ(TKWO)による「チャリティーコンサート」の開催費用などにも浄財が拠出された。

心的ケアを重視
翌12年、同基金は、岩手、宮城、福島の3県の被災地へ支援を集約させた。復興の長期化により、被災者への心的ケアが重視されるようになった。同基金は、同年4月にスタートした本会の「こころホット」ボランティアの運営資金を提供。それにより、同ボランティアは、釜石市社会福祉協議会が進める「お茶っこサロン」に参画した。仮設住宅内に設置された談話室で入居者に飲み物や菓子を提供しながら、ボランティアが話の聞き役となり、被災者の心に寄り添うほか、「お茶っこサロン」への誘いを通して高齢者などの安否確認を目的とした「見守り訪問」を、現在も展開している。

3県各支援団体の機動力を強化
13年に入ると、各県の復興の進捗(しんちょく)状況に差が生じるなど課題が山積していた。一方、公的機関などの多くが、被災地の自立促進を理由に各団体への支援を打ち切り始めた。それにより、現地で支援活動を担う団体は活動資金の不足から、撤退の危機に直面した。同基金は、各県の支援のニーズを踏まえつつ、住民が主体となって復興事業を行う団体を支援することが被災地の復興と自立を促進させると判断。被災3県で活動する中間支援組織を改めて選出し、連携を図りながら「東日本大震災三県支援事業」に着手した。
岩手・釜石市では、被災地域の造成工事や被災者の復興公営住宅への転居が進む中、独居高齢者の孤立化などの問題が懸念された。同基金は同市社会福祉協議会と連携して、「一食岩手・釜石復興支援事業」を13年から展開。地域住民のコミュニティー構築や強化に重点を置き、仮設住宅での触れ合いサロン活動などに取り組む7団体に、合計977万円を支援した。
福島県では、「一食福島・被災者復興支援事業」を14年から実施する。東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響による復興の遅れを勘案し、住民の生活を中長期的に支えることを目的に、中間支援組織の「ふくしま地球市民発伝所(福伝)」と協働。放射能測定データの市民への提供や子供たちの放射能被ばくを抑えるための活動団体、風評被害を解消するため有機農家と消費者の橋渡しを行う団体など13の団体に計1300万円を寄託した。
また、宮城県では、復興公営住宅への転居などで新たなまちづくりが進む一方、その中核を担う団体の人材や資金の不足が課題になった。その解消のため、各団体との調整役を担うみやぎ連携復興センターと協力し、「一食宮城復興支援事業 復興まちづくり協議会事務局ステップアップ助成」を15年に開始。中長期的なまちづくりビジョンの策定や先行団体事例の視察、津波によって流失した防潮林を再生するための植樹を行う活動など10団体に450万円を拠出した。こうした事業による「三県支援」の拠出総額は、15年末時点で2727万円に上った。
同プロジェクトによる各県での支援計画は今後も進められる予定だ。

本会一食平和基金運営委 根本昌廣委員長 談話

支援団体代表者の声

(2016年9月23日記載)